陰の季節

陰の季節

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 227p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163180809
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

警察一家の要、人事を担当する二渡は、天下り先ポストに固執するOBの説得にあたるが……。警察小説の新たな地平を拓く話題作

内容説明

息詰まる攻防。かつてこんな警察小説があっただろうか。警察一家の気配が描かれ、警察内の人事問題を真っ正面から扱った、第5回松本清張賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nico🐬波待ち中

86
人事等を担う警務部内の人間模様を描いた短編集。犯罪者との華々しい攻防戦はないけれど、警察官達の内面が丁寧に描かれてあり胸が締め付けられた。警察といえど体制は民間企業と同じで、時に人事異動に備えて頭を悩ませることも。地味な作業だけれどここを疎かにすれば組織全体のバランスも崩れてしまう。縁の下の力持ち、という言葉が似合う今回の登場人物達に好感を持った。表題作と『黒い線』が特に好き。いつもクールなエリート警視・二渡が時折見せる温かな眼差しに救われた。男社会に揉まれる婦警達には共感しきり。友子に瑞穂、がんばれ!2022/06/11

文庫フリーク@灯れ松明の火

86
『64』読了時、興味を抱いた二渡。この作品をアドバイス頂いた読み友さんに感謝です。警察であれ、民間会社であれ、組織は組織。それは変わらない。「何も刑事や公安ばかりが警察ではない。組織には組織をコントロールし、組織そのものの体力をつけつつ、次代へ引き継いでいく役割の人間が必要だ」40歳の若さで警視、人事という切り札を握り、鮮やかな手腕を見せる二渡。陰の通称は「エース」表題作では大物OB・尾坂部との駆け引き。二渡の存在すら利用する尾坂部のしたたかさと執念が『64』雨宮のひび割れた爪と、血豆のように黒ずんだ→続2013/04/13

kazu@十五夜読書会

69
64(ロクヨン)を読んで、読友さんに「D県警シリーズ」を教えて頂きました。横山秀夫さんのデビュー作になるのですね。警務課調査官二渡が主人公で架空の警察本部D県警の管理部門人事責任者の物語。表題作「陰の季節」は、人事異動の内示発表の5日前、3年前に民間企業の産業廃棄物不法投棄監視センター専務理事に天下りしていた尾坂部道夫が、“3年で辞める”という暗黙の掟を破り、「辞めない」と言い出す。人事担当の調査官・二渡がその理由を調べ始めると……尾坂部が結婚間近の尾坂部の娘が被害にあった暴行事件を捜査していた。2013/06/18

もぺっと

44
警察小説だけど、事件を扱う刑事物ではなく人事関連の短編集。そうか、おエライさんの天下り先はそうして決めるのか、中間管理職は大変。そして出世コーズにのり続けるのも大変。それにしてもさすが横山さん、それぞれの話のオチに唸らせるものがあった。意外な事実に驚く。2016/04/22

rinko

41
『64』で存在が気になった二渡さんが主役の一編と、脇役で登場する三編で編成の短編集。普通の警察小説とは一線を画する、警察内部のいざこざや足の引っ張り合いや、内偵や人事の問題等々…いうなれば警察官もサラリーマンで大変なんですよ、的なお話に感じました。一課が捜査して事件を解決、という警察小説を期待して読むと、えぇぇ!ってなりそうです。でも、警察内部の仕組みが分かって勉強になります。女性が男社会で戦うのは大変だなぁ…2013/11/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/541882
  • ご注意事項