新☆ハヤカワ・SF・シリーズ<br> 母の記憶に

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新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
母の記憶に

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  • サイズ 新書判/ページ数 528p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784153350328
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

出版社内容情報

不治の病を宣告された母が愛する娘のために選び取った行動をつづる表題作、明治時代の満州にやってきた熊狩り探検隊一行の思いがけない運命を描いた「【烏蘇里/ウスリー】【羆/ひぐま】」など、あたたかな幻想と鋭い知性の交錯を透徹な眼差しで描いた16篇を収録した、待望の第二短篇集

ケン・リュウ[リュウ ケン]

古沢 嘉通[フルサワ ヨシミチ]

内容説明

不治の病を宣告された母は、誰より愛するひとり娘を見守り続けるためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…母と娘のかけがえのない絆を描いた表題作、帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため機械馬を駆り、満州に赴いた探検隊が目にしたこの世ならざる悪夢を描いた「烏蘇里羆」、脳卒中に倒れ、入院した母を、遠隔存在装置を使用して異国から介護する息子の悲しみと諦念を描く「存在」など、今アメリカSF界でもっとも注目される作家が贈る、優しくも深い苦みをのこす物語16篇を収録した、待望の日本オリジナル第二短篇集。

著者等紹介

リュウ,ケン[リュウ,ケン] [Liu,Ken]
1976年中華人民共和国甘粛省生まれ。2011年に発表した短篇「紙の動物園」で、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝く。その後も精力的に短篇を発表、2015年には初の長篇となる『蒲公英王朝記』を刊行した。中国SFの翻訳も積極的におこなっている。アメリカ、マサチューセッツ州在住

古沢嘉通[フルサワヨシミチ]
1958年生、1982年大阪外国語大学デンマーク語科卒。英米文学翻訳家

幹遙子[ミキヨウコ]
英米文学翻訳家

市田泉[イチダイズミ]
1966年生、お茶の水女子大学文教育学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

184
一昨年読んだ「紙の動物園」に続いてケン・リュウ2作目です。SFの枠に囚われない多様(ミステリ、歴史、純文学等)な作品群の日本向けオリジナル短編集、堪能しました。オススメは表題作の「母の記憶に」、純文学的な「存在」、ミステリ色の強い「レギュラー」です。2017/06/28

Panzer Leader

89
「第104回海外作品読書会」長年読書をしていると読み終えるのが勿体ないと思うほど素晴らしくてページを捲るスピードが落ちる本に出会うことがあるが本書は正にそれ。前作「紙の動物園」同様新作であるのに、懐かしさや郷愁を感じさせるのは人間の本質を優しい目で描いているから。SFという範疇に収まりきらない珠玉の短編集。2018/02/28

星落秋風五丈原

87
日露戦争に勝って意気が上がる帝国陸軍の探検隊を率いる中村博士は、機械馬を駆り巨大羆を追っていた。彼は羆に特別な想いが。 想起されるのはクマの獣害としては日本史上最悪の被害を出した三毛別羆事件。特集番組で「なぜ羆が人を襲うのか」という疑問に「一旦人間の味を覚えてしまったら、熊にとっては人間は捕食対象にしか見えない」と答えていたが、本編では別の理由を挙げている。その理由は日本と中国、他の戦い続けている二国全てにあてはまる。この方法が全ての戦争を止めるのに役立つと良いのだが。熊にも怯まぬ機械馬を見てみたい。2019/12/24

chimako

82
SFは苦手。科学的な知識も素養もなく時代から取り残されたような読者がその世界感に浸ることが出来る。何だろう……すごい。作者の脳の中で組み上げた物語は何万何億のナノブロックを駆使した巨大建造物で、そのブロックの色や形のはまり所が絶妙。知らないこと分からないことも多いがそれは些細なことだと思わせる作者の、それこそが力量なのだろう。薄ら寒くなるような近未来はすぐそこにあり、既に取り込まれてしまっているのかも知れないと振り返って背中を確認したくなる。藤井太洋氏の解説に作者を「国宝」とある。天才ではなく国宝である。2021/06/28

naoっぴ

75
バラエティ豊かで良作揃いの上質な短編集だった。前作「紙の動物園」も良かったけれどこちらも負けず劣らず読みごたえがある。行き過ぎた未来の姿に苦さ、切なさを感じさせるもの、道徳的なものなど、短い話ながら深い余韻が感じられるのはさすが。「重荷は常に汝とともに」の軽妙なアイデアにニヤリ、「存在」「残されし者」にはしんみりとし、「訴訟師と猿の王」「万味調和」では歴史の重みを感じた。中でも好きだったのは「シミュラクラ」「パーフェクト・マッチ」。この皮肉な苦味がいいのです。2019/05/04

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