内容説明
人間が引き起こす身の毛もよだつ大量殺戮、血腥い権力闘争、暴力などは、さも動物時代の野蛮さの名残であるかのように言われてきた一方、親切や思いやりなどは「人間らしい」美点として喧伝されてきた。しかし、動物の側から言わせれば、これは公平な見方ではない。たしかに、人間と98%のDNAを共有しているチンパンジーは、権謀術数に長けた攻撃的なサルではある。だが同じだけのDNAを共有しているもう一つの種であるボノボは、チンパンジーとは対照的に、平等で平和な社会を好み、思いやりの心に富んだ心優しいサルなのである。つまり、階級社会も平等社会も、戦争も平和も(はたまた人間が専売特許だと思っている正常位のセックスや、他のあれやこれやのお楽しみも)、すべてチンパンジーやボノボと同じ祖先から遺伝的に受け継いできたものなのだ。では、ヒトが鏡の中に、破壊の限りをつくす力と、温かい慈愛の心の両方を見つけることができたとき、私たちは何を考え、何をすべきなのか?霊長類研究の世界的権威が、豊富かつ興味深い類人猿たちの生態を紹介しながら、鋭い洞察力と独特のウィットを通じて、「人間らしさ」の本質を考える痛快サル学エッセイ。
目次
第1章 類人猿と家族
第2章 権力―マキアヴェリの血
第3章 セックス―カーマ・スートラの霊長類
第4章 暴力―戦争から平和へ
第5章 やさしさ―道徳的な感情と身体
第6章 両極端な類人猿―どこに妥協点を見いだすか
著者等紹介
ヴァール,フランス・ドゥ[ヴァール,フランスドゥ] [Waal,Frans de]
生物学者・動物行動学者。霊長類の社会的知能研究では世界の第一人者として知られている。オランダに生まれ、1981年にアメリカに移住。現在エモリー大学心理学部のC.H.キャンドラー教授職にあると同時に、アトランタのヤーキース国立霊長類研究センターにおいて先端的研究を行なうリビング・リンクス・センターの所長も務めている。独特の視点と語り口による『政治をするサル』『利己的なサル、他人を思いやるサル』『サルとすし職人』などの著書は幅広い読者層を獲得し、これらが10カ国語以上に翻訳されたことにより、世界でもっとも有名な霊長類学者として知られるようになった。ジョージア州アトランタ在住
藤井留美[フジイルミ]
翻訳家。上智大学外国語学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ayumi Katayama
のれん
ジョジョ
mmm
Schwarzeon BLACKY