• ポイントキャンペーン

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 340p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152086945
  • NDC分類 489.9
  • Cコード C0045

内容説明

人間が引き起こす身の毛もよだつ大量殺戮、血腥い権力闘争、暴力などは、さも動物時代の野蛮さの名残であるかのように言われてきた一方、親切や思いやりなどは「人間らしい」美点として喧伝されてきた。しかし、動物の側から言わせれば、これは公平な見方ではない。たしかに、人間と98%のDNAを共有しているチンパンジーは、権謀術数に長けた攻撃的なサルではある。だが同じだけのDNAを共有しているもう一つの種であるボノボは、チンパンジーとは対照的に、平等で平和な社会を好み、思いやりの心に富んだ心優しいサルなのである。つまり、階級社会も平等社会も、戦争も平和も(はたまた人間が専売特許だと思っている正常位のセックスや、他のあれやこれやのお楽しみも)、すべてチンパンジーやボノボと同じ祖先から遺伝的に受け継いできたものなのだ。では、ヒトが鏡の中に、破壊の限りをつくす力と、温かい慈愛の心の両方を見つけることができたとき、私たちは何を考え、何をすべきなのか?霊長類研究の世界的権威が、豊富かつ興味深い類人猿たちの生態を紹介しながら、鋭い洞察力と独特のウィットを通じて、「人間らしさ」の本質を考える痛快サル学エッセイ。

目次

第1章 類人猿と家族
第2章 権力―マキアヴェリの血
第3章 セックス―カーマ・スートラの霊長類
第4章 暴力―戦争から平和へ
第5章 やさしさ―道徳的な感情と身体
第6章 両極端な類人猿―どこに妥協点を見いだすか

著者等紹介

ヴァール,フランス・ドゥ[ヴァール,フランスドゥ] [Waal,Frans de]
生物学者・動物行動学者。霊長類の社会的知能研究では世界の第一人者として知られている。オランダに生まれ、1981年にアメリカに移住。現在エモリー大学心理学部のC.H.キャンドラー教授職にあると同時に、アトランタのヤーキース国立霊長類研究センターにおいて先端的研究を行なうリビング・リンクス・センターの所長も務めている。独特の視点と語り口による『政治をするサル』『利己的なサル、他人を思いやるサル』『サルとすし職人』などの著書は幅広い読者層を獲得し、これらが10カ国語以上に翻訳されたことにより、世界でもっとも有名な霊長類学者として知られるようになった。ジョージア州アトランタ在住

藤井留美[フジイルミ]
翻訳家。上智大学外国語学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ayumi Katayama

19
人間らしさとは何か。何故かヒトはそれを追い求めてきた。プラトンは「二本足で歩く羽のない鳥」だと言った。でもディオゲネスが羽根をむしったニワトリを放して「これが人間だ」と言った。だからその条件に「カギづめでない」ということを追加しなければならなかった。そうだ! 道具を作るのが人間だ! でもチンパンジーだって木の枝から棒を作るけど? ふっ、バカだな君たち、そんなもの決まってるじゃないか、言葉だよ、ことば。言葉を操る者こそが人間なのだ。あら、でも最近、類人猿に手話を教えちゃった。2021/09/23

のれん

11
後半のボノボやチンパンジーの性事情がイメージと全く違って驚いた。子作り以外の目的での性行の動機や相手選びなど、普通に生活している人間に本当に近い。 動物も社会があると思考する内容は人間とそんなに変わらないという本書の結論には納得せざるを得ない。性関係だけでなく、社会秩序や集団内のコミュニケーションまで人間と同じ苦痛を抱えているのだ。 権力闘争のための暴力性やいじめも、集団生活を円滑にする思いやりも全て動物が生存率を上げるために進化の過程で生み出したものなのだ。(続く)2020/08/23

ジョジョ

4
読む前:「え 人間様>>>サルでしょ?」 。でも、チンパンジーの群れの中の”人間関係”のエピソードを読んで感じるのは「へぇ~ ライオンってこういう習性なんだー」的なものではなく「あるある!あるある!」というものすごい親近感・デジャヴ! 実は僕たち人間とチンパンジーは感情というベース部分は完全に共通している。そして、サルについて読んでいたはずが、いつのまに人間自身の本質について学び、考えさせられてしまう、そんな一冊。衝撃的でした。2013/11/17

mmm

2
私たちは、動物は人と違い純粋な心を持っていて裏切ったり騙したりしないというイメージをなんとなく持ちがちなように思う。だがこの本に登場するチンパンジーはまるでハリウッド映画に登場する政治家のように権力のバランスを取って生きており、純粋無垢な動物のイメージはまったくない。 逆に、他人の立場に立った行動は人間特有のものと考えがちだが、この本に登場するボノボは他者の状況を思いやることのできるとても暖かな心の持ち主だ。 (続きはコメント欄)2012/08/17

Schwarzeon BLACKY

1
チンパンジーとボノボとヒトを社会的に比較した本。意外と知的な行動とされてる様々な行動が類人猿と共通してると感じるとともに、確かに争いや性事情の心理学ってあまり議論されてるところは見ないなと。ある意味人間単体だと生々しすぎる議論も比較対象がいることで割とすんなり頭に入るなという印象です。しかし感謝と復習は表裏一体の関係というのがゾクッときましたね……。2020/07/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/164609
  • ご注意事項