わたしたちが孤児だったころ

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  • サイズ B6判/ページ数 414p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152083425
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1900年代初めに謎の失踪を遂げた両親を探し求めて、探偵は混沌と喧騒の街、上海を再訪する。現代イギリス最高峰といわれる作家が失われた過去と記憶をスリリングに描く至高の物語。

著者等紹介

イシグロ,カズオ[イシグロ,カズオ][Ishiguro,Kazuo]
1954年11月8日長崎生まれ。1960年、5歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡る。以降、日本とイギリスの2つの文化を背景にして育つ。ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学大学院で創作を学ぶ。はじめはミュージシャンをめざすが、やがてソーシャル・ワーカーとして働きながら執筆活動を開始する。1982年の長篇デビュー作『女たちの遠い夏』は王立文学協会賞を受賞し、9カ国語に翻訳された。つづいて、1986年に発表した『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞。1989年には長篇第三作の『日の名残り』で、イギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞した。1995年の第四作『充たされざる者』ののち、5年ぶりに発表した本書『わたしたちが孤児だったころ』は、英米でひじょうに高く評価され、発売以来たちまちベストセラーとなった。国境を超えたその普遍の文学性で、イギリスのみならず世界中からもっとも注目される作家である

入江真佐子[イリエマサコ]
国際基督教大学教養学部卒、英米文学翻訳家。訳書に『完全版 ダイアナ妃の真実』アンドリュー・モートン、『リトルジョンの静かな一日』ハワード・オーウェン、『シーラという子』『機械じかけの猫』トリイ・ヘイデン(以上早川書房刊)他多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

拓郎

57
イシグロさん、楽しませてくれますねぇ。素直な感想ですがイシグロさんは善なるものを希求しているように感じられます。未読作が残り少なくなってきたのが残念です。2019/05/05

きさらぎ

48
ノーベル文学賞を獲らなければ知らなかった作家さん。翻訳本が苦手なので読むのにすごく時間がかかった。 言い回しも独特だし、”今思えば~”みたいな振り返りが多く混乱した。 クリストファーもサラも独善的で鼻持ちならない、超クセのあるキャラ。前半は何がどうなる話なのか見当もつかなかったけど、両親を探して上海に渡る後半からはのめり込んだ。ただ、主人公の思い込みと事実とのギャップが甚だしい。現実なのか妄想なのか判断がつかないモヤモヤした不思議な世界観だった。解説によると、それがイシグロ・ワールドなのだとか。2017/11/15

kasim

39
イシグロと言えば寂しくも軽やかで洗練されたというイメージがあったが、今回はらしさを保ちつつ非常に重かった。中盤は『充たされざる者』の再現みたいだが、終わりに向けて30年代アジアの歴史性とより普遍的な人の闇のようなものにつぶされていく感じ。『大いなる遺産』の残酷なパロディでもある。人はみな孤児として過去に囚われ、現在は新たな変えられない過去となる。新しい世代に希望の未来があるわけでもない。そんな人びとに前向きたれとの説教がましい態度を作者が上から取ることもない。悲しく、素晴らしかった。2020/09/19

春ドーナツ

17
「(前略)それが正確にそのとおりだったかどうか、また、そこにこめられていた感情についても正確なところはわからない。しかし、多少は後から解釈したところがあるにしても、これがわたしの覚えているそのときの記憶である」(116頁)。たとえそうであったとしても、わたしたちは、失われた時を求めて、回想を抑えることができない。私は思うのですが、記憶の脆弱性こそイシグロ文学の主題であり、何度も読み返さずにはいられない魅力だ。そこにある儚さと悲哀さの結晶が、私の眼には美しく映える。そして大切に守りたい何かが秘められている。2018/08/17

shiman

15
イシグロ三冊目。読み始めるまでまさか探偵小説の体裁をとっているとは思わなかったので驚き。日本語で書かれる作家だとしたらどんな文で書かれていたのだろうかともしもを思いつつ。でもそうするとこれらの英国舞台のものはなかったのよね。次はファンタジーらしいという新作にしよう。2015/11/03

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