内容説明
現代最高の名優が、シェイクスピアから映画の演技まで、長年にわたる豊富な舞台体験を踏まえ、役づくりの苦しみと楽しみを初めて語る。
目次
第1部 幕があがる前に(演技のはじまり;過去に学ぶ)
第2部 偉大なシェイクスピアの役(『ハムレット』;『ヘンリー五世』;『マクベス』;『リチャード三世』;『リア王』;『オセロー』;『アントニーとクレオパトラ』;『ヴェニスの商人』)
第3部 同時代の影響(ナイト爵をもつ俳優たち;新しい飛躍;劇作の巨匠)
第4部 映画の仕事(初期のハリウッド;シェイクスピアの映画化;カメラの前で)
第5部 感懐(演技と人生)
エピローグ 若き女優への手紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
7
ローレンス・オリヴィエの、シェイクスピア作品を中心とした演技論。書き出しで、シェイクスピアの時代の名優・リチャード・バーベッジから、近代の名優まで、その歴史と系譜をとうとうと語っているところに、この人の演技に対する理論家で分析的なアプローチが表れているように思う。リチャード三世やヘンリー五世など、監督した映画も見たくなった。2020/05/19
hoshinot
0
シェイクスピア俳優として有名な著者が演技について自伝的に書いた本。オリヴィエは終始一貫して、演技とは役を自分に引き寄せることではなく、自分が役の方へ出ていくことであると述べている。つまり自分本位に役作りをするのでなく、自分の個性は隠し、役それ自身の個性を自分の中に取り入れるのでなければならない。大切なのは役に対する愛であり、愛とはまずもって理解の高まりである。演技とは、彫刻家のように、素材(役)の要求にしたがって自らをある形象に刻みあげることなのだ。それがカメレオン俳優を自負する著者の最上の喜びであった。2016/06/14