内容説明
町のイメージアップのために野良犬の射殺を依頼された元兵士。追われた揚句に病院へと逃げ込んだ負け犬。刑務所から出所した男を待ち構えていた、魂胆を抱えた非道の父親…過酷な人生を生きる人々は、誰もがその心の奥に、人知れぬ闇を抱えている。その闇を描くことでは他の追随を許さぬ第一人者が、短篇という形式の可能性を示した、初の傑作集。代表作『ミスティック・リバー』に勝る感動を約束する7篇の短篇を収録。
著者等紹介
ルヘイン,デニス[ルヘイン,デニス][Lehane,Dennis]
アメリカ、マサチューセッツ州ドーチェスター生まれ。1994年に私立探偵パトリックとアンジーのコンビを主人公にしたデビュー作『スコッチに涙を託して』でアメリカ私立探偵作家クラブが贈るシェイマス賞最優秀新人賞を受賞。2001年に発表した『ミスティック・リバー』は、全米ベストセラーとなり、クリント・イーストウッド監督により映画化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
16
「ICU」の読後の余韻、「グウェンにあうまで」とその戯曲「コロナド」がお気に入りかな。2012/11/20
KAZOO
13
ルヘインは長編しか読んだことがなく(ミスティック・リバー、シャッター・アイランド、運命の日 前2作は映画もみました)、その割には大ファンなのですが、短篇集もそれなりに面白いのですが、長編に比べるとのめり込むことができませんでした。心の奥底の闇のようなものがあるのはわかるのですが、短篇ですとあまり書ききれていない感じがしました。水準ではあると感じますが。2014/03/22
bapaksejahtera
12
早川はルヘイン角川はレヘイン。20世紀原作の角川作品は未読だ。「ミスティック・リバー」や「シャッター・アイランド」など早川の長編は21世紀以降発表の悪漢小説/心理小説で、強烈な読後感があった。早川を読了し、残ったのは7篇からなるこの短編集。いずれも到底常識ある市民とはいえぬ登場人物が悪事を畳み掛け、暫く後に読者は何が起こったのか了解する、いわば実験小説の趣きがある。病院に逃げ込んだ男を巡る「ICU」や悪漢父子の騙し合う小説を更に戯曲で膨らました作品「コロナド」が面白かった。次は探偵パトリックとアンジーだ。2022/06/06
小太郎
12
「ミステックリバー」「運命の日」で長編作家だとばかり思っていたデニス・ルヘイン。短編だって随分達者なので思わずで恐れ入りました。ミステリというより純分系の匂いのする作品が多かったです。「グウィンに会うまで」と戯曲「コロナド」には涙!2018/06/28
Yoko
12
収められた短篇はどれも鮮烈ながら何だか哀しい余韻を残す。中でも「グウェンに会うまで」とそれを元に作られた戯曲とを合わせて読むという珍しい体験に恍惚としてしまった。本当に舞台を観ているような、吸い込まれそうな緊迫感だった。2015/11/16