内容説明
剥き出しの肌、砕かれた頭、57回刺された腹―1980年、ヨークシャー・リッパーに殺された13人目の女性が発見され、エリート刑事ハンターは事件に関係するポルノ企業に潜入した。が、彼は奇怪な胎児の悪夢に囚われ、さらに流産した妻を殺すとの手紙をリッパーから受け取る。襲い来る恐怖と闘い、彼は犯人に迫るが…ジョン・レノンが暗殺された闇の時代を背景に、かつてないほど刺激的な文体で圧倒する暗黒小説の金字塔。
著者等紹介
ピース,デイヴィッド[ピース,デイヴィッド][Peace,David]
1967年、イギリス、ヨークシャー生まれ。ジェイムズ・エルロイに傾倒し、作家を志す。1999年、「ヨークシャー四部作」の第一作『1974ジョーカー』でデビューし、馳星周やジョージ・P・ペレノーノスに高く評価される。同書はロマン・ノワールの本場フランスでも多くの読者を獲得し、コニャック・フェスティヴァル・ミステリ大賞ノワール賞に輝いた。東京在住
酒井武志[サカイタケシ]
1961年生、京都大学理学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Schunag
9
「東京三部作」完結を機に再読。主人公はこれまでも優秀な警察官として内務調査めいた立場で見え隠れしてきたピーター・ハンターで、これまでの登場人物たちに比べて、家庭的にも精神的にも(比較的)安定している。幻想/韻文的な断片はこれまで以上に象徴的に挿入されるが、それ以外の部分では明晰であり、『1974』『1977』で明確でなかったことが本書でおおよそ解明される。『1977』の幻覚では色彩が押し出されていたが、本書では電波/ラジオ/録音を中心とするノイズ/聴覚の印象が強い。2021/08/13
まろ
1
リピートする文章、情景、延延と連なる言葉。読むのを止められないが、この世界はバッドトリップだ。2009/03/30
Gibberella fujikuroi
0
読むのは楽しかったけど、話が結局よくわからなかった。wikipediaの解説を読んだ感じでは、4部作の3作目をいきなり読んだのがまずかったっぽい。なお、執拗な反復など、文体が醸し出す雰囲気が重要なんだろうけど、もうひとひねり欲しいし、翻訳ではちょっと間抜けな感じ。2012/03/06
suu
0
読んだ人少ないっすね
ともりん
0
捕まった。リッパ―でわからなかったこともこちらで回収。読んで良かった。犯人が捕まっても終わった感じは無い。実際に同じような事件が起きたことも影響しているかもしれない。特徴的な文章、同じシーンの繰り返しを読んでいくうちに「映画のシーンを文章にしたみたい」と思った。映像が迫ってくる工夫は結構すごいことだったんじゃないかな。4巻で終わるから次に進む。2021/06/30