ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 1977リッパー

  • ポイントキャンペーン

ハヤカワ・ミステリ文庫
1977リッパー

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 570p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151726521
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

売春婦の喉を次々と抉り、英国を震撼させたヨークシャー・リッパー。刑事ボブは愛人の売春婦ジャニスをその魔手から護るべく、独自の捜査を開始。が、“女の皮膚を送る。残りは揚げて食べた”というリッパーからの手紙が届けられ、さらにジャニスが同僚の刑事に強姦されてしまう!狂気の淵に追い込まれながらも、ボブは殺人鬼逮捕に死力をつくすが…累々たる死体が飾る1977年、血塗られた暗黒年代記の第二幕が始まる。

著者等紹介

ピース,デイヴィッド[ピース,デイヴィッド][Peace,David]
1967年、イギリス、ヨークシャー生まれ。ジェイムズ・エルロイに傾倒し、作家を志す。1999年、「ヨークシャー四部作」の第一作『1974 ジョーカー』でデビューし、馳星周やジョージ・P・ペレケーノスから高く評価される。東京在住

酒井武志[サカイタケシ]
1961年生、京都大学理学部卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

295
『1974ジョーカー』に続くシリーズ第2弾。本編では'70年代に相次いでヨークシャーに出没したリッパー(切り裂き魔)と、それを追う警察当局との攻防を描く。このように書くと、あたかも典型的な警察小説のようであるが、内実はこれまでの類書とは大きくその趣を異にする。地取りや聞き込み(行われないわけではないのだが)といった地道な、捜査によって犯人を追い詰めていくといった手法は全く取られない。むしろ極めて行き当たりばったりのように見えるし、警官たちは暴力的で、まるでマフィアのようにさえ映る。リーズがこんな街なのだ⇒2018/08/24

ケイ

115
1974を読んでいるのが必須条件だと思う。どうしてエディを助けなかったのかと思った2人が、今作では受難の回。ヨークシャー四部作ということがよくわかった。これでは何も解決しないのだ。1980、1984と読み進めるしかあるまい。しかし、秀作ながらもエルロイの対抗馬ではないと思った、LA4四部作を読んだ時には、最後のページで毎回とてつもなく切ない気持ちにさせられたが、ピースはそれには成功していない。続編を待つしかない結末だ。2016/08/07

まふ

93
おそれていたよりもエロ・グロ度は低く、何とか最後まで読み通した。ヨークシャー・リッパー事件が1980年まで続いており、物語はリッパーそのものの結論には至らず、警察署内の不正堕落状況が中心に描かれていた。これではリッパーなど捕らえることができるはずもないほどの堕落である。前作もそうだったか、主人公は「思い込み」「独りよがり」「情念」が強くカラマワリをしてばかりいるよう(な書き方)で、紙面が多くの「冗文」(言い過ぎか?)で費やされている、つまり小説全体の<文章密度が高くない>と感じた。G1000。2023/09/21

セウテス

84
ヨークシャー四部作第2弾。70年代のヨークシャーには、連続殺人を繰り返した切り裂き魔リッパーが暗躍し、住民たちを恐怖のどん底に落としていた。警察は住民を守り、リッパー逮捕への物語かと思いきや、切り裂き魔の恐怖を描きながらも、警察の権力暴走と不正をメインに捉えた作品であろう。前作でも感じたのだが、悪意や恐怖そこから派生する暴力や殺人を、過激なまでに描写している特徴がある。しかし、そこから生まれる哀しみや切なさが、本来もっと在るべきではないのかと感じてしまう。やはり私には、善と悪がハッキリした方が好みの様だ。2018/10/11

Schunag

6
「東京三部作」完結を機に再読。異形の暗黒作家としてのデイヴィッド・ピースはここからはじまったことをあらためて確認する。一人称叙述に視点人物のオブセッションや悪夢や幻視が交錯し、作品=物語=人物の核心は、象徴詩のようなセクションにより告げられる。ヨークシャー・リッパーをめぐる策謀は最終的には背景にとどめ、それに関わる捜索者の私的な地獄めぐりに焦点が合わされる点はいわゆる「ミステリ」の流儀ではなく、やがてピースは『占領都市』で、「anti crime fiction≒アンチ・ミステリ」を標榜することになる。2021/08/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/505845
  • ご注意事項