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ハヤカワ・ミステリ文庫
1974ジョーカー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 549p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151726514
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

262
これがノヴェル・ノワールなのだろう。こうしたジャンルには馴染みがないのだが。ミステリーとするには、あまりにも事件に論理性がない。現実には論理性も整合性もないのだから、それも当然なのかも知れないが。小説のノワールたる所以は第3部において遺憾なく発揮される。気の弱い人は読み進めるのをやめたくなるかも知れない。それほどに描写は凄惨だ。しかも、それはマスコミをも飲み込んだ権力による暴力である。タイトルの"1974"から、オーウェルの"1984"を連想するのは、正当なのだ。仮想の1984と現実の1974が対峙する。2015/12/04

ケイ

114
こういう風に収束していくとは思わなかった。エディに寄り添う人はどうして誰もいないのだろう。ジョーカーの意味は 、誰がジョーカーを引いたかということか。汚物にまみれ、血が吹き飛び、そこかしこに染みついている。凄惨さを極めた殺害現場など食事を挟んで読むのはためらうようなシーンが続くが、私はジプシー達が炎と警官の憎悪のために崩れ落ちていく場面が一番恐ろしかった。作者による前書きでも、池上冬樹氏による後書きでもエルロイに対するイギリスノワールと全面に出されている。シリーズ四作すべて読まなければ判断がつかない。2016/08/06

まふ

100
いわゆるノワール小説の一つ。ほぼ全編暴力とセックスとLGBTと糞尿の世界。地方紙の社会部記者が「署名入り記事」を書きたいばかりに無理をして功名を得ようと一線を越えてしまう。これという推理もなく、主人公の「気分」で物事が進められ最後は「殴り込み」的にヤケクソな終わりとなる。女性に対する責任観念がきわめて薄く妊娠が判明してもほったらかしで別の女性に手を出す。警察が「気に入らない男」を一方的にリンチするのもおかしい。使う言葉が汚く読んでいて不愉快だ、と、総じて読後感は「不快」に近かった。G1000。2023/09/20

セウテス

80
ヨークシャー四部作第1弾。エルロイ氏に影響を受けて書かれたノワールという事だが、エルロイ作品とは違うものだろう。エルロイ作品は、アメリカ国家の暗黒面や権力を持つ側の問題を描いているが、本作は猟奇的な事件の表情を文章にしている様に思う。特徴としては短い文で構成されている事と、凄惨極まる殺害現場などの描写である。それは背中に白鳥の羽を、縫い付けられた少女の遺体が発見され、事件を追いかける新聞記者を主人公に描かれる。私は主人公の性格が好きになれず、物語も読みたい作品では無かったが、ハマる人にはハマるのだろう。2018/10/10

NAO

57
強力な権力に支配されている社会は、恐怖政治が敷かれている社会となんら変わるところがない。権力を握る者が罪を犯しても決して罰せられることはなく、悪が善を凌駕する。事件の真相を追うエディは決して英雄ではなく、女性蔑視の塊のような人物。こういったひどいところで生まれ育った者が正常であるはずがない、と作者は言う。悪を憎むという公平さを持ち事件の真相を暴こうとしている彼でさえこうなら、他の者たちはどれほどひどいか、ということなのだろう。2016/10/18

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