内容説明
月曜日、イングランドでも有数の大邸宅で、一週間にわたる狩猟パーティーが始まろうとしていた。そんな矢先、招待客の一人の女優が、突然食卓に突っ伏し、息絶えた。しかも火曜日にはさらなる死体が飛び出し、そしてそのあとにも…館の女主人に招かれていたわれがパーティ殿下は、ここぞとばかりに名探偵ぶりを見せつけようとするが…。アガサ・クリスティーを思わせる設定で才人ラヴゼイが贈る殿下シリーズ第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J・P・フリーマン
12
殿下シリーズ第二作目。著者がスタイルを変えたためか、翻訳者がわかったためなのかわかりませんが、前作よりも読みやすくなった印象です。狩猟パーティの席で毎日のように死体がでるなかでも、皇太子エドワードは体面にこだわり、そして、自分が名探偵であることを信じて頑なに警察を呼ばない。上流階級の人々が世間体を守ることに固執したり、中産階級の出の著名人に狩猟が野蛮だと言わせたりと、ヴィクトリア朝のお高くとまった上流階級の文化を揶揄しているような作品でした。2020/04/02
鐵太郎
7
今回の殿下の「捜査」は、前回のような実際の歴史をもとにしたお話ではなく、純粋なフィクションと考えていいようです。出てくる一人一人の登場人物のキャラクターが際だっていて、楽しいですね。特に警護のためにバーティに付くジョン・スウィーニーという警部補が気に入りました。彼は警察官のくせにまったく捜査の経験がなく、警察官と言うより純粋な護衛官なのですが、起きてしまった殺人事件の捜査をするようにバーティに命令されて困り果てます。宮仕えとはつらいものですなぁ。2009/11/26
アルクシ・ガイ
5
変わらぬ殿下の「迷」探偵ぶり。王族を「名」探偵にすると、なんぞ支障があるのだろうか? やはり「名」探偵には、ワトスン役が必要なのかも。コナン・ドイルのホームズものも、ホームズ自身が筆を取った(と、される)作品は評価が低い。2019/08/14
ゆーかり
4
若くて美しい未亡人主催の狩猟パーティーに招待されてわくわくのバーティー。ところが、ディナーの最中に招待客の一人が突然デザートに突っ伏し息絶えた!そしてその後も次々と。なーんとそれはある童謡の詩の通りに行われているではないか!と気が付いたバーティー。あれ?マザーグースの詩の通りに殺人が行われていくっていう有名な話がありましたねー。1990年はクリスティー女史の生誕100周年の年でした。
madhatter
4
再読。動機を重視することで、一気に犯人と犯行方法がわかるのだが、その手掛かりは終盤まで明らかにならない。ある人物の正体と死の真相については、早い内からもう少し匂わせても良かったのではないか。まあ、推理小説としては平均的なレベルの作品。ただ、個人的には殿下シリーズでは本作が一番好きだ。何よりも連続殺人事件の構成が魅力的。童謡殺人の要素があり、狂気じみた法則の地上の理屈への読み替え方が面白い。〈木曜日〉は些か厳しい気もするが、〈日曜日〉の死体の正体には…何度読んでも泣ける。2011/05/02