ハヤカワ文庫<br> ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源

ハヤカワ文庫
ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150502102
  • NDC分類 389
  • Cコード C0139

内容説明

ヒトがヒトを生贄として殺し、食べる―中米アステカ族に伝わった凄惨な食人儀礼は、初めてそれを目撃した16世紀の西欧人はおろか、現代人にとっても衝撃的で謎めいた行動以外の何物でもない。だがこんな文化様式ができあがったわけは、生態学の観点に立てば明快に説明することができるのだ…米国人類学の奇才が、食人儀礼、食物タブー、男性優位思想など広範な人類学的主題を鮮やかに読み解く、知的刺激あふれる名著。

目次

文化と自然
エデンの園の殺人
農耕の起源
戦争の起源
蛋白質と獰猛な人びと
男性優位とエディプス・コンプレックスの起源
第一次国家の起源
コロンブス以前のメソアメリカにおける諸国家
食人王国
慈悲の小ヒツジ〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノコギリマン

42
再読。だいーぶ前に読んだんだけど本棚整理中に見つけたので久々に読んでみた。タイトルから、「おー、カニバリズムについて学べる」つって買ったらぜんぜん違って、タイトル通り「生態人類学から見た文化の起源」についての本でした。著者のマーヴィン・ハリスは文化決定論者で、その基本的立場は「再生産の圧力、生産の強化、環境資源の涸渇が、家族組織、財産関係、政治経済、食事の嗜好や食物禁忌を含む宗教的信仰などの進化を理解する鍵となる」という“下部構造決定論の原理”にあるらしい。つづく2015/02/27

James Hayashi

32
原題はCannibals and Kings “The Origins of Cultures” であり物々しいタイトルほどではない。生態人類学なるものから家畜の歴史、なぜ中東で豚、インドで牛が禁食とされたのか解く。それに付随する宗教、戦争、食や政治に触れ興味深い一冊。要再読。2020/10/06

Akihiro Nishio

24
ホモサピエンス全史を読む前に手持ちの類似書を消化。本書の肝は女児殺し。自分は単純に前近代は高い乳幼児死亡率のため人口が増えなかったのかと思っていたが、意図的な女児殺しによって、食糧生産量と人口のバランスを取っていたとのことであった。また、新大陸に特有の食人の風習も同じように人口コントロールから説明できるという。インドにおける牛の神聖化とイスラム諸国における豚のタブーに関する説明は、やや腑に落ちなかったが、食糧生産におけるコスト・ベネフィットによる解釈は非常に新鮮で重要な切り口であると思った。2017/02/05

モリータ

20
◆原著は1997年刊。著者は文化唯物論の立場の米文化人類学者。主タイトルはさておき、戦争・農耕・食・宗教・政治体制といった文化の諸側面の起源を、利用できる生産資源の枯渇と再生産の圧力、労働効率を高める技術革新のサイクルから説明する本。◆私が印象深かった点は、①ほっといても増えてしまう人口を抑え、限られた環境資源を確保するかが根底となり、女児殺しが行われたり、人口調節手段としての戦争遂行のため男性優位社会が形成されたりする。②人口の増大と土地や飼料の減少により、猟や飼育で得られる肉は貴重なものとなり、2019/07/26

4fdo4

17
邦題が異様であるが、コロンビア大学教授の人類学論である。 シャーマニズム的カニバリズムの項目は少ない。 人類と文化の発展に関連した「なぜこの文化にたどり着いたのか?」という考察。 「男性優位思想」の歴史や「ヒンドゥー教はなぜ牛を食べないのか?」などは面白くも、若干強引かなと思われる。 疲れた脳みそには少々入りにくい内容では有ったが、知的好奇心は底抜けに刺激してくれる。 2017/02/06

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