出版社内容情報
男の娘の貴尾根すばるは、電子部品を買い漁っていた不思議な少女と知り合う。彼女の名は結城ぴあの、突然変異的な超天才だった!
内容説明
ようこそ旧人類ども。これは結城ぴあの―人類の恩人、科学の歌姫、最後のアイドル―の物語だ。男の娘のボク―貴尾根すばるは、秋葉原の電気街で彼女と出会った。「宇宙へ行きたい」と大真面目に語るぴあのは、やがてトップアイドルに上り詰め、物理法則をねじ伏せ、大発明で世界を変革する。そんな最高にマッドな突然変異の超天才に恋をしてしまったボクは…。閉塞したリアルを打ち破る、山本弘・ハードSFの最高到達点!
著者等紹介
山本弘[ヤマモトヒロシ]
1956年京都府生まれ。洛陽工業高校電子科卒。78年「スタンピード!」で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。87年、ゲーム創作集団「グループSNE」に参加し、作家・ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年発表の『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、07年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、また06年発表の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補となった。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
『よ♪』
71
なんてわくわくする物語だろう──。下巻も楽しみ。けっして万人向けじゃない。ふわふわ感覚のハードSF。お勧めしたい。『偶然知り合った女の子が実はアイドル歌手だった』なんてベタなシチュエーションに憧れるキミに。アキバのジャンク屋さんに萌えるキミに。"ボクっ娘"のキミに。"男の娘"のキミに。超伝導に激萌えしたキミに。『エントロピー?ああ知ってるよ。よくわからないけど』というキミに。『永久機関は必ず作れる』と信じるキミに。人類が火星に行く日を期待するキミに。そして、もっと遠くの宇宙に飛び立つ日を夢見るキミに──。2020/07/29
chiseiok
48
紛れもない純ハードSFでありつつ、トップアイドルを目指す(しかもそれが最終目的では無い!)少女の成長物語でもあります。筆者独特のロリータ風味は好み分かれると思いますが、今回は程よい塩梅。凄いのは作中でこれでもかと言及される物理理論。そもそも物理理論なんて守備範囲外なんですけど作者の“勉強しました感“が強すぎると途端に薄っぺらく感じるんですねこれが。本作の語り口は余りにナチュラル過ぎて、何が架空で何が現実の理論なのか全く分からない。巻末の主人公による周防教授への怒涛のプレゼンは鳥肌物でした。やっぱ面白い〜!2020/04/09
ゆなほし
42
男の娘のすばるは秋葉原で、やがてトップアイドルに上り詰め、物理法則をねじ伏せ、大発明で世界を変革する最高にマッドな超天才結城ぴあのに出会う…。あっぱれこれがアイドル×ハードSFの最適解!頭の中に大宇宙の数式を秘めたアイドルぴあのと、女装趣味のすばるとの偶然にして必然の出会い、ジャンル:SF>>>恋愛が越えられない2人の関係が、決して読みづらくなく描かれている。こういうのが読みたかったんだよ!アイドルが大天才で宇宙を目指す、それだけで個人的には最&高。近未来のアイドル像は、全く夢物語という訳では無さそうだ。2020/04/19
活字スキー
38
【証明してみせます。私がただのアイドルじゃないことを──不可能を可能にできることを】単行本既読。"愛と正義のSF作家"山本弘の最高にして最後の傑作につき文庫で再読。2025年のアキバのパーツショップで出会った一人の少女、最高にマッドな"最後のアイドル・結城ぴあの"が閉塞したリアルをぶっ壊し、物理法則をもひっくり返す奇跡の証人となれ。AI、ARの進化による時代の変化と、常識を越えた新技術「ピアノ・ドライブ」へと繋がる超理論。その想いは光を超えてサイハテまで。 2020/04/02
kitten
35
新刊で購入。単行本既読。最後のアイドルにして天才的マッドサイエンティスト、結城ぴあのの物語。単行本は2014年発売だから、6年前になる。こんなにワクワクする話、そうはないだろうと思っていたが、再読でも面白さは健在。人間のアイドルが仮想現実のアイドルに勝つ方法。人間は「命をかけることができる」。仮想現実にはそれができない。なるほど。上巻ラストは、周防教授との対談だが、ここでぴあのの言っていること、誰が理解できるんだろうか?アイの物語の機械語くらいに理解不能なんだが。それでも、すごいことを言っているのはわかる2020/03/21