内容説明
だんなさまは、いったいどうしたんだろう？森の小さな夏別荘では、主人に置き去りにされた電気器具たちが不安な日々を送っておりました。ある時ついにちびのトースターが宣言します。「みんなでだんなさまを探しに行こう！」かくしてトースターのもとに電気毛布、掃除機、卓上スタンド、ラジオなどが集結し、波乱に満ちた冒険の旅に出たのですが…けなげでかわいい電気器具たちの活躍を描く、心温まるＳＦメルヘン。ローカス賞・イギリスＳＦ協会賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
109
これはお勧め。ご主人に置き去りにされたトースターや掃除機などが旅に出るお話。目的地はもちろんご主人の家。電気器具たちの運命が気になって、ページをめくってしまう。花やリスなど途中で彼らが出会う登場人物たちもユニークだ。特に韻を踏んだ話し方しかできないヒナギクは可笑しい。自分が長い間使った電気の器具には愛着がわいてくる。その気持ちをうまく表現した小説だと思う。たとえ物でもここで描かれているように、大切に使っていれば、心を持つのかもしれない。みんなが幸せになるハッピーエンドの結末が素晴らしい。2017/10/09
藤月はな（灯れ松明の火）
62
別荘に取り残されたトースター、掃除機、電気毛布、電灯はご主人様のところへ向かうが・・・。まずは電気が必要なトースター君達が別荘から出るのにどうすればいいのかと思案する所が見ものです。その思案の結果でもあり、家電だからできることに私は思わず、笑ってしまいました＾＾雨、嵐、しまいには泥棒によってゴミ処理所に捨てられるトースター君たちが機転を利かして困難を克服していく様子に応援してしまいます。ラストは驚いたけどちゃんとハッピーエンドです。ご主人様の都会の家電たちもいい子だな＞＜クスリとしてほのぼのするメルヘン。2014/02/06
GaGa
44
これは随分昔、SFマガジンで一挙掲載されていたものと同じ作品で間違いないと思うが、それを探し出すには押入れの捜索が必要なので断念（笑）初めて読んだ時もそうだったが、衝撃が走った作品。ディッシュに何が起こったのか！？でも、今まともに読めるディッシュ作品がこれぐらいとは少し悲しいなあ。2011/12/07
ツバメマン★こち亀読破中
40
森の別荘に置きざりにされた5つの家電、フーバー製の電気掃除機、目覚まし兼用のAMラジオ、黄色の電気毛布、卓上スタンド、そしてピカピカのサンビームのトースター、が力を合わせてご主人探しの旅に出る…どうですか？夢がある話でしょう(笑) 「ブレイブ・リトル・トースター」というタイトルでアニメにもなっていて、子供が小さかったときによく見ました。トースターの声が山瀬まみで、トースターたちが火星まで行くという続編もありました。是非YouTubeで見てみてくださいね！2015/01/25
とち
38
思わず最後に「めでたしめでたし…」と追加したくなる現代版昔話みたいなお話。戻ってこないご主人様に会うために苦難の旅に出かける家電製品たちの冒険譚。彼らの健気な姿には、次々と新製品が発売されて、まだ使えるのにほいほいと買い換えてしまうような現代の風潮には心苦しくなります。我が家の家電製品たちも寿命を迎えるまで大切に使っていこうと思った。2012/09/28
