ハヤカワ文庫<br> 母なる夜

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ハヤカワ文庫
母なる夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p
  • 商品コード 9784150107000
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

第二次大戦中、ヒトラーの宣伝部員として対米ラジオ放送のキャンペーンを行なった新進劇作家、ハワード・W・キャンベル・ジュニア―はたして彼は、本当に母国アメリカの裏切り者だったのか?戦後15年を経て、ニューヨークはグリニッチヴィレジで隠遁生活を送るキャンベルの脳裡に去来するものは、真面目一方の会社人間の父、アルコール依存症の母、そして何よりも、美しい女優だった妻ヘルガへの想いであった…鬼才ヴォネガットが、たくまざるユーモアとシニカルなアイロニーに満ちたまなざしで、自伝の名を借りて描く、時代の趨勢に弄ばれた一人の知識人の内なる肖像。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GaGa

57
この作者の作品で一番いい作品を今まで読まない出来たなあと、読んだ直後にしみじみと思った(でも若い頃読んでいたら価値を理解できなかったかもしれない)いい小説ですよこれは、人っておかしいんですよね、やっぱり。でもだから人なんですよね。こういう作品があるからこの作者は今も高い地位でこの国で評価されているのですよね。2012/10/08

Vakira

56
ガチだが、真面目に愛の定義を考えてみよう。愛するとは他人のはずの君が僕の一部になってしまう事。だから、愛する人が消えてしまったら自分の生きがいは半減してしまう。もしくは自分の生きる意味を失ってしまうのだ。生物学的視点では自分の命の継承が無くなってしまうことだからね。よって、愛は自分の生命の一部って言も言い過ぎではない。さて、時は第二次世界大戦後、戦争犯罪による処刑が頻繁に行われている頃。もし、自分の愛した妻が自分を監視するスパイと分かってしまったら?愛の偽装。愛の定義からすれば、それは自分の存在否定。2023/10/12

fseigojp

22
ナチス協力の反ユダヤ主義者として戦後イスラエルに戦犯として裁かれたアメリカ人の半生。。。。ヴォネガット2作目、いやあ、もう止まりません2016/06/12

ボーダレス

18
劇作家でもあり、ラジオ放送のスターでもあった、ハワード・W・キャンベルJrの回想録のようなもの。時は第二次世界大戦、ナチスのイデオロギー宣伝放送を行いながら、アメリカへの機密情報を発信しつづけた。そう、彼は二重スパイなのであった。双方向から鑑みると英雄でもあり、戦争犯罪人ともいえる。戦後、生き延びてしまった罪深さから主人公の葛藤を偽物の妻を含め、シニカルに描かれ、Auf Wiedersehen,と締め括られている。2019/08/13

バ度ホワイト

16
各章数ページずつに割り振られてて読みやすい。第二次世界大戦を生き抜いた主人公の物語がユーモアたっぷりに楽しく読めるのだが、根底には深い深い人間の闇が哀しみが孤独感とともに襲ってくる。2018/01/22

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