内容説明
「戦後日本」が終わりを告げたいま、私たちの社会のリアリティは大きな変容を遂げた。この現実を否認した「希望」も「絶望」も無効である。情報社会とサブカルチャーの戦後から現在をふまえ、日常と非日常が混在するこの日本社会の本質を明晰に描写。震災復興が叫ばれる今、ありうべき日本社会の姿を探るため、いま、もっとも注目される若き俊英二人が徹底討論。
目次
1 「震災」から考える(“フクシマ”を受け止めるための想像力;復興への希望はどこにあるか)
2 「戦後以降」を考える(情報社会の現在地まで;日本的なものの再定義)
3 「希望」を考える(希望と社会・政治・運動;政治と文学の再設定)
著者等紹介
宇野常寛[ウノツネヒロ]
1978年、青森生まれ。評論家。企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰。総合誌「PLANETS」編集長
濱野智史[ハマノサトシ]
1980年、千葉生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員を経て現職の株式会社日本技芸リサーチャー。専門は情報社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
25
世代論→国家論という見取り図は宇野のこの時からの問題意識で、ふたりの現在の力関係を反映して宇野の議論に濱野が引っ張られています。取り上げられていることは結構難しいです。ただし、敢えて難しくしているような、無理しているので論点とズレているような。要するに、背伸びをしているためにうわ滑っているという印象です。当時、彼らは若く、読者は寛容にその声を聞いていました。現在、彼らは中年になり、ただの若手ではなくロスジェネの世代論として読み替えることができます。気になるのは、彼らは自らの言葉を実存的に読まれるのを拒否し2018/12/02
キョートマン
18
震災はあくまでトドメであって、すでに以前から日本の田舎は死に体だったというのは納得。2章と3章は震災から話がそれていると思うが、社会構造を改めるべきという考えには賛成。この本が出版されたのがかなり前だということもあって、話題が少し古いが、現代だったらどんな話題になるだろうか2021/12/02
白義
16
常にそこにある、固定されたように見える現実をゲーム的な枠組みによりハッキングし、全く違う風景を生み出す「拡張現実」の世界。それがインターネット技術の発展により次々生成され、新しい共同性の舞台になっているという現代日本文化論が展開されている。早い話がニコニコ動画や2ちゃんねる的なもののことであり、そこに作用する独特の繋がりの社会性や創造と消費のあり方は社会を内側から変えていくインパクトがあるという。ユートピア論の色彩が強く、過度の楽観やそこで拡張された現実もまた抑圧が強いことは課題だろうがよく整理されている2015/10/21
浅香山三郎
11
東浩紀さんが、モールやニュータウン、東京を論じた著書からの流れで読む。ただ、本書は文化現象(サブカルチャー)が中心なので、私は分からない事象も多く、理解も中途半端かも知れない。 〈外部〉を求めるのではなく、〈内部〉に深く〈潜る〉といふ希望の持ち方は何となくなるほど。 要再読かも知れない。2017/07/08
ワンタン
6
今読むと、扱う情報が中途半端に古いせいか、何となく理解は出来ても共感はできない感じ。もっと新しい、著書ひとりひとり単独の本を読んだ方がよさそう。