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NHKブックス
異端者たちの中世ヨーロッパ

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911655
  • NDC分類 192.3
  • Cコード C1322

内容説明

ヨーロッパ世界を禍々しく彩る正統と異端の物語。正統と異端の対立というドラマの外部、スポットライトから離れた歴史の薄暗がりに目を向け、中世ヨーロッパ社会の深層にある矛盾や葛藤に光を投げかける。古代末期のグノーシス主義から、中世のカタリ派、ワルド派、聖霊派とベガンをへて、中世末期のフスやジャンヌ・ダルクまで歴史の闇に葬られた異端者たちの声に耳を傾け、ヨーロッパ世界の成り立ちを問い直す渾身の力作。

目次

序章 異端からのまなざし
第1章 正統と異端の地平
第2章 「身体」をめぐる抗争―カタリ派二元論
第3章 「言葉」をめぐる抗争―ワルド派
第4章 「富と権力」をめぐる抗争―フランチェスコ会聖霊派とベガン
第5章 キリストのための戦い
終章 権力の歴史へ

著者等紹介

小田内隆[オダウチタカシ]
1954年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、立命館大学文学部教授。専門は、中世キリスト教史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

10
キリスト教には権力が宗派弾圧を施す装置としての「異端」が存在する。本書では異端hairesisの原義「選び」が、ローマ帝国の基督教国教化以後、帝国の支配論理として排除の語義を持つに至った經緯を述べた後、聖職売買と妻帯禁止を中心とした11、2世紀グレゴリウス改革以降の2世紀余を中心に、農村社会から都市の発達を示した大陸ヨーロッパにおけるローマ教会支配への異論と抵抗、これに対する弾圧を扱う。カタリ派ワルド派ペガン等の説明は具体的で理解を進める。しかし叙述と用語選択には論理より詩的な傾きが強くやや反発を覚える。2022/10/08

翔亀

6
カタリ派やワルド派の他、ウィキや岩波キリスト教辞典に載っていないベガン共同体のようなあまり知られていない異端も含めた抵抗運動を、最新の中世史研究を踏まえて紹介している。参考文献も充実し手堅いが、小説の題材にもなりそうなエピソードが織り込まれ、読み易い語り口だ。ただ主題は異端を生み出した教会=体制側の抑圧型、排除型、支配型への変質の分析で、日本中世史で自由と差別の問題にこだわった網野史学が思い出される。曰く、異端は、信仰問題から権力問題(不服従自体が問われる)へと拡張された、と。中世史としては良書。■862013/11/02

東雲

5
序章「異端からのまなざし」第1章「正統と異端の地平」第2章「「身体」をめぐる抗争ーカタリ派二元論」第3章「「言葉」をめぐる抗争ーワルド派」第4章「「富と権力」をめぐる抗争ーフランチェスコ会聖霊派とベガン」第5章「キリストのための戦い」終章「権力の歴史へ」中世ヨーロッパ、キリスト教に於ける異端について。異端と言う語の定義から異端の誕生、具体的な異端を取り上げた各々の特性。「異端=選びの物語」「不服従の異端」等印象深い言葉も幾つか。「異端」がキリスト信仰がなければ成立しない、に納得。とても分かりやすかった。2015/02/03

メロン泥棒

4
異端とは「選択」の歴史であるという切り口が面白い。わざわざ正統と違うものを意識的に選択するにはそれだけの理由があり、異端の存在が正統に対して影響を与えている。我々の知る異端がはっきりと定義されたのは16世紀である。しかし、異端という言葉自体は2世紀からあり、異端審問は11世紀から存在した。そのため、実際の異端とはかなり広がりのある概念としてとらえることができる。異端=反逆=悪魔崇拝ではなく、異端は選択であり不服従の精神である。2010/10/21

amemosky

2
中世の異端派を通して、カトリック教会側が抱えていた問題や矛盾がネガ/ポジのように浮き上がってくる。なにを弾圧し、なにを取り込んだのか。「中世」の時間枠の中でも社会は変わり、教会も変わっていく。中世の歴史の流れも感じられる内容。2017/07/04

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