NHKブックス
現代帝国論―人類史の中のグローバリゼーション

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  • サイズ B6判/ページ数 268p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911242
  • NDC分類 319.04
  • Cコード C1336

内容説明

アメリカの一極化、EUの拡大、BRICsなどメガ国家の台頭…世界は「帝国の時代」を再び迎えようとしているのか?今後、国民国家に代表される従来の秩序は変質し、グローバル・スタンダードという新たな普遍的秩序の下で、私たちの生もまた、変質していくのか?ポランニーからネグリ=ハートまでの様々な言説の分析や、清帝国やムガール帝国など諸帝国が並立した近世との比較をふまえ、世界の深層で起きている変化を、人類史的パースペクティヴで捉え直す。グローバル化する時代の倫理的・思想的課題に鋭く迫る力作。

目次

「新しい近世帝国」の誕生?
1 人類史の中のグローバリゼーション(超越性なき世界―「帝国」を考える;ポランニー的不安の時代―「大転換」は本当に起きるのか;「近世帝国」再論―清朝の統治システムに見るメタ普遍性)
2 ポランニー的不安にどう向き合うか―三つの普遍主義(国家の下に集結せよ!―ネオコン周辺の普遍主義;不安を前提に連帯せよ!―シニカルな普遍主義;「空虚な普遍性」に耐えよ!―メタ普遍主義)
3 帝国の倫理(「国際社会」とはなにか―現代に蘇るメタ普遍性;「戦争」の時代をどう生きるか―自然と社会の流動化を踏まえて)

著者等紹介

山下範久[ヤマシタノリヒサ]
1971年、大阪市生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。1995‐97年、米国ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(ビンガムトン大学)社会学部大学院にてイマニュエル・ウォーラーステインに師事。北海道大学大学院助教授を経て、立命館大学国際関係学部准教授。専攻は世界システム論、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ひろし

1
国際社会を倫理的、思想的な観点から分析。グローバリゼーションを帝国化=近代化の視点から分析、説明した本。西欧的な帝国だけでなく、中華、イスラム、ムガルなども考察の対象としている。私には少し難しかったが、中心となるのは、現在の国際社会の規範について。帝国を支える普遍性をネオ・ホッブズ、シニズム、メタ普遍主義から論じている。ポランニー的不安の底が抜けないように絶えず規範を作り変え、流動化に対応させていくメタ普遍主義が重要。2014/01/02

hegemon

0
「中道」や「グローバルに考えローカルに行動する」といった言葉からカビを除去するための論考として最初から読むべきだったかもしれない。その筋をきちんと見いださないと頭の中での理解がとっちらかるかも2017/04/20

kohei

0
はじめに、人類史的なタイムスパンにおける普遍主義の複数性の可視度の変動を、長い16世紀と19世紀~現代の期間をその高まりとして、またその中間である近世帝国をその低まりとして図式化。前者の高騰は、<世界>の底が抜ける(=ポランニーの本源的生産要素の定義がその許容可動域を超えて変化する)ことへの不安を人々にもたらすとする。次にこの事態への態度として、①ある普遍主義を明示し不安を封じ込めるネオ・ホッブズ主義、②あらゆる普遍主義の押しつけを否定するシニシズム、③不安を人類史的常態とするメタ普遍主義、が提示される。2015/11/21

void

0
【★★★★☆】ピラミッドの頂点がいない世界<帝国>において、「ポランニー的不安」に対する意図はどうあれ、それの解消を指向するポジティブな普遍主義(デモクラティック・ピースなど、押し付け)、絶対的普遍主義のみを拒絶し「不安」をそれとして受け容れる多極的でネガティブな普遍主義(シニシズム)、生物学的?「人間」という普遍性に依拠しノモスとピュシスの境界が常に揺らいでいるように「世界の底」自体の揺らぎに目を向けるメタ普遍主義、それらの整理・視点は興味深い。が、すっきりしない。それが「空虚」さに由来するのだろうか。2011/12/11

nobby

0
難解な一冊だが、ネグリ/ハート、ウォーラーステイン、フクヤマ、大澤真幸、ジジェク、トッドなど、現代思想や政治理論において重要な問いを突き付けている人物の諸理論を、かなりコンパクトにまとめつつ、新たな時代における倫理的姿勢を抽出している。独特な文体ではあるが、噛めば噛むほど味が出る一冊。

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