NHKブックス
フロイト思想を読む―無意識の哲学

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911082
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C1310

内容説明

私たちは日々、このように生きたいとか、こうありたいと思うが、心は脳のような実体がなく、なぜそう願うのか、取り出すことはできなかった。しかし、フロイトは過去の欲望に規定された「無意識」を発見することで、心がエロスや自己承認の欲望によって駆り立てられる存在であることを明らかにした。現在では、汎性欲説やエディプス・コンプレックスなど、誰もが承認できる理論とは言い難く、また実証不可能な仮説群であり、治療論としては時代遅れとされている。しかし、哲学が知的営みによってある世界理解を打ち立てたように、フロイト思想は一つの決定的な人間学を二十世紀思想として打ち立てた。現象学の本質観取によってフロイトから人間学としての本質を引き出し、現代思想に影響を与え続ける優れた思想としてフロイトを読み直す。

目次

序章 人間思想としてのフロイト
第1章 フロイト思想の全体像
第2章 認識対象の本質論
第3章 無意識論
第4章 エロス論
第5章 自我論
第6章 「無意識」とは何か

著者等紹介

竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授。哲学者、文芸評論家。現象学を基本にして、近代哲学を見直す試みを続けている

山竹伸二[ヤマタケシンジ]
1965年生まれ。広島修道大学人文学部心理学専攻卒業。学術系出版社の編集者を経て、現在、哲学・心理学の分野で著述家として活動中。大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員。朝日カルチャーセンターにて「フロイト完全解読」などの講座を担当。主な論文に「自由と主体性を求めて」(第14回暁烏敏賞を受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シルク

10
「フロイトは、『無意識』の発見者」…なんつって言われてる。わたくしも、1週間前までは「うんうん、フロイトね。無意識発見したんやんね」と思ってた。が。小此木啓吾、鈴木晶、中山元と読んできて、「フロイト以前に、すでに人々は『なんか、自分で把握しきれない自分自身。。って、あるよね?』って、気付いてた。ついでに言えば『無意識』って言葉自体、生み出したのはフロイトじゃねーし」ということを知った。んじゃあ、なんで、フロイトが「無意識の発見」てのでようけ語られるのか? というと、鈴木晶は「それまでだって皆何となく→2022/08/11

塩屋貴之

3
フロイトのいわゆる汎性欲説が鼻について読めない人はこの本から入るといい。「あ、その精神疾患はですね、オイディプス・コンプレックスですね。あなたがあなたのお母さんに対して抱く性欲を道徳規範と照らして抑圧することに原因があって…」「はい?」けれども、葛藤=ままならなさというものは誰しも感じたことがあるんじゃないだろうか?葛藤の実在は普遍的には示すことが出来なくても、少なくとも私の心のうちに認めることが出来る。人間葛藤についての説明を細かく割っていくという道順を採ればフロイト思想にある程度の妥当性を認められる。2011/03/05

yu-onore

1
フロイトの欲には理性と本能の狭間で葛藤する様が描き出されていて、その齟齬が病になり、その解決のために二者間で了解される共同幻想としての相互了解があり、三者としての一般他者=社会=大文字の他者にも了解可能なものへと広がるように。ある種弁証法的で実用主義感もある理性主義者としてのフロイト像が写し出される感じがあって面白い。けど、性欲と超自我的な抑制が葛藤せず同じ生の欲動になる欲動論が失敗としてカットされる感じもあり、そちらから攻め力の思想を見出だす方向性をそこそこに期待していた部分はあったので……2021/06/28

2n2n

1
フロイトの提唱した理論は、実証主義者から見れば決して実証することのできないエセ科学に過ぎないが、これに現象学の観点を導入すると、フロイトの理論はきわめて独自な意義を持っているということが明らかにされ、目から鱗が落ちた。また、フロイトの理論を理解することは、同時に現代思想の問題を理解することに繋がるという超展開に驚かされた。自分が今年読んだ本のなかで、一番面白かった本かもしれない。2010/11/09

プリン

1
竹田青嗣氏とフロイトという何とも異質な組み合わせに興味を持って購入。もともとフロイト自体には興味がなかったので何となく読んでしまってあまり頭に残りませんでしたが、フロイトが人間存在の本質に欲望の葛藤があることを直観したこと、「無意識」とは客体として観察される対象ではなく主体の一部であるという主張は理解できました。2010/04/11

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