NHKブックス
幸福論―“共生”の不可能と不可避について

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  • サイズ B6判/ページ数 339p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910818
  • NDC分類 304
  • Cコード C1336

出版社内容情報

宮台真司氏とそのお弟子さんにあたる鈴木弘輝氏・堀内進之介氏との共著。世代の異なる社会学者3人が徹底討論。

内容説明

不透明で流動的な社会、将来不安に脅かされる人々…いま、「幸福な社会」とはどのようなものか。幸福への設計は、一握りの「エリート」に任せられるか。幸福につながる「教育のあり方」とはどのようなものか。どんな社会も、なんらかの選別と排除を抱えこむ以上、万人の幸福な“共生”は不可能とする考えから出発し、統治権力が巧妙に演出する「幸福像」を超えて、真の幸福はいかにして可能かを徹底討議。人文科学の粋を集めた迫力ある鼎談。

目次

第1章 パターナリズムこそ幸福の大前提?(幸福の機会費用;「不安のポピュリズム」の登場)
第2章 いかに幸せだと思わせるか―幸福の社会工学(フィールグッド社会の罠?;全体性の危機―“公”不在の日本社会 ほか)
第3章 エリートが「幸福な社会」を作るのか?(まずは「感情的安全」の保障から―多様性の構築へ;“エリート”の条件)
第4章 教育を通して「疑似階級社会」を作る?(人を見て「機能の言葉」を説け!;「学校的共同性」を再考せよ!)
第5章 “社会設計”の不可能と不可避(バイオポリティクス―恣意性にどう対処するか;「教育の一枚岩」をどう捉えるか ほか)

著者等紹介

宮台真司[ミヤダイシンジ]
1959年仙台市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。専攻は理論社会学(社会システム理論)。首都大学東京都市教養学部准教授

鈴木弘輝[スズキヒロキ]
1970年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。社会学博士。専攻は教育社会学・歴史社会学・知識社会学。現在、首都大学東京非常勤講師

堀内進之介[ホリウチシンノスケ]
1977年大阪府生まれ。東京都立大学大学院修士課程修了。専攻は政治社会学・歴史社会学。現在、首都大学東京大学院博士後期課程在籍、現代位相研究所首席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たばかる

18
幸福とは何かという問いを幸福をどう作るのかという問いに変形することが社会設計もとい思想から実学への問いに広がる。年長世代や大人の思う将来の幸福は常に既に「パターナリズム」であるしかないが、そこにどのようなイデオロギーを組み込むのかは思慮するべき問いである。同時に社会設計をする人間の倫理の側も選別されねばならない。未来への課題は多いが避けられない。2022/12/22

はすのこ

12
良書。前頭葉破壊系の本である。難解です。2016/05/08

ひろ

2
専門の違う社会学者三人が「いかにして幸福な社会は可能か」について議論する。かなり難しく、引用の範囲も非常に広いのでついていくのがやっとという感じだ。多元主義が敷衍し、特に日本では「なにが価値観の基準となるべきか」が霧散した中で、宮台真司は「エリートが緩い合意の元でソーシャルデザインを行えるようクオリファイすること」が有効と言うが、エリートによる動員という面に二人の社会学者が抵抗する。一方で堀内氏の巻末言にある科学技術の進歩は「責任ある行動をする存在」という自己理解を脅かすため受け入れるには時間がかかると2020/07/01

Max Brown

2
宮台氏の対談本の中でも、本書は「パターナリズム」に軸足を置いたもの、即ち「人々が幸福になるような社会設計をいかにして行うか」について論じられたものである(宮台曰く「社会科学の新しいステージ」)。その過程で、政治や教育が主要テーマとなる。また、「宮台=システム論、堀内=批判理論」の立場に立ち、ハーバーマス=ルーマン論争の反復を意識した構成になっているのも特徴的である。内容に関しては、議論が「メタにメタに…」遡ろうとするから、極めて読みにくい。やはり再帰的近代において、社会設計について語るとこうなるんだな。2013/06/21

6ちゃん

2
久々に社会科学系の読書にはキツすぎたw でも、ソーシャルデザインについての議論は、自分が漠然と政治に抱いていた疑問について、明確にしてくれた気がする。「エリート」の育成もその彼らが作るソーシャルデザインへの批判者の育成?も難しそう。パンピー(笑)な自分は自分の尾っぽを追いかける如く議論が堂々巡りで先に進みゃあしないw2010/08/22

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