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NHKブックス
ネパール王制解体―国王と民衆の確執が生んだマオイスト

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  • サイズ B6判/ページ数 310p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910757
  • NDC分類 225.8
  • Cコード C1322

内容説明

ヒマラヤの山峰に抱かれ、世界遺産都市カトマンズを首府とするネパール。平和に見える小国では21世紀に入っても、中世さながらの絶対王制が営まれてきた。1990年の民主化から数年、地下に潜った小政党は、毛沢東主義革命を目指し、武装闘争を拡大。たった2挺のライフルから、近代武器を備えた1万を超える軍隊を抱える勢力にまで成長した。2006年春、ついに動き出した何十万もの民衆が、カトマンズを取り巻く道路を埋め尽くす。七政党は武器を降ろしたマオイストと共に、国王に与えられた全特権を奪い取った。5年以上にわたり現地において丁寧な聞き取り取材を進め、地下に潜った活動家やマオイストの武装勢力の指揮官たちへの突撃取材を重ねた孤高のジャーナリストが虚々実々のネパール近現代史を、迫真の筆致で描く意欲作。

目次

第1章 二一世紀のマオイスト(秘境の“首都”で見たマオイスト;混乱のなかで、武装闘争の旗を掲げる ほか)
第2章 なぜマオイストが生まれたのか―民衆と国家との確執の歴史(マオイストが支配する国のなかの孤島;「抵抗する村」タバン ほか)
第3章 ネパールの近代化を阻んだ国王たち(陰謀にまみれたネパール王制の歴史;近代化の障害でありつづけた王制 ほか)
第4章 王制からの脱却(二度のクーデターで絶対王制を実現した国王;都市部をターゲットに ほか)

著者等紹介

小倉清子[オグラキヨコ]
1957年栃木県生まれ。東京大学農学部農業生物学科卒。現在、トリブバン大学社会・文化人類学中央学部修士課程に在学中。1993年からネパールに在住し、ジャーナリストとして活動を続ける。マオイストとネパール政治に関する複数の記事をさまざまなメディアに発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

27
軸足が明確すぎる点はありますが、マオイストが如何にして勢力を拡大していくのかやネパール王制の問題点はよく調べられていると感じました。ナラヤンヒティ王宮事件を鑑みると国民から指示されない人が君主につくと、体制が一挙に覆る危険があることを感じ、他山の石かなとも思いました。2022/12/17

Akihiro Nishio

20
先日ネパール人の講演を聞いてマオイストが民主化の話に何度も出てくるので、不思議に思い本書を読む。以前、マオイストから逃れてきたネパール難民の話も聞いていたのでますます不思議に思った。つまりは、王制→ラナ家専制→インドの支援による民主化→議会派の腐敗→マオイスト台頭→王制の復活→中国の支援を受ける王権とマオイストの協調→クーデターによる王権復活→議会派とマオイストの協調→王権崩壊→民主化という流れであった。良くも悪くも他の政党と違って武装集団であったため腐敗した王制を追い詰めることができたことを知る。2018/12/05

雲をみるひと

15
ネパールの王朝解体に至る経緯を纏めたルポ。 あまり馴染みのない国での出来事で、すっと頭には入らなかったが、現地の事情や雰囲気、特に一地域の王朝とその関係者が文化や風俗の違う民族を支配していた構図がよく説明されていてわかりやすかった。内戦下での王朝に対する勢力へのインタビューなど迫力ある。2020/07/20

きいち

6
同じようにインドと中国に挟まれた地政学的に有利な位置にあり、同じようにヒマラヤの麓の山村を後背地に持つ王国でありながら、ブータンのほうは今や世界で最も尊敬される国の一つとなり、ネパールは大混乱の上に未だに安定できない状況。その違いを生んだのは確かに王室の差だが、それを個人の違いのせいにするのではなく、もう一段、王が国全体のことを考えにくい、一枚岩ではない社会の成り立ちがありそうだ。丁寧な取材と多面的な一次情報のおかげで、自分でも考えることができる好著と思う。2011/12/08

牛タン

3
90年代~00年代に現地で反政府運動を繰り広げたマオイストを追ったルポ。独裁体制の王政、腐敗した政党政治、マオイストの三つ巴の闘いを描く。少しマオイストびいき?な印象は受けたが、たぶん日本人ジャーナリストでここまでマオイスト内部にもぐりこんだのは他におらず、資料としては貴重なんだろうと思う。ネパールに限らないだろうが、武闘派の共産勢力が生まれる背景には社会の格差や分断があるんだろうなと思った2019/05/06

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