NHKブックス
マルチチュード〈上〉―“帝国”時代の戦争と民主主義

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 335p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910412
  • NDC分類 311.4
  • Cコード C1331

内容説明

マルチチュードとは何か。グローバル化に伴い登場しつつある、国境を超えたネットワーク状の権力“帝国”。この新しい権力の形成途上で生じる終わりなきグローバルな戦争状態への抗議運動は、それぞれの特異性を保ちながらも、共通のネットワークを創りあげる。権力と同型の、ネットワーク状の形態で闘う多種多様な運動の先に、グローバル民主主義を推進する主体=マルチチュードの登場を予見する。“帝国”論の新たなる展開、ついに日本語版登場。

目次

共にある生―グローバル民主主義に向けて
第1部 戦争(ジンプリチシムス―終わりなき戦争を見る目;ネットワーク化する対反乱活動;抵抗の系譜)
第2部 マルチチュード(“危険な階級”はいかに構成されるか;グローバル資本という身体―搾取と階層秩序の地勢図)

著者等紹介

ネグリ,アントニオ[ネグリ,アントニオ][Negri,Antonio]
1933年生まれ。元パドヴァ大学政治社会科学研究所教授。70年代にはアウトノミア運動の中心人物となる。テロ事件にかかわった容疑により逮捕、投獄されるが、フランスに亡命。現在は完全に自由の身となり、研究・著述を続けている

ハート,マイケル[ハート,マイケル][Hardt,Michael]
1960年生まれ。現在、デューク大学助教授(比較文学)。ワシントン大学で比較文学を修めたのち、パリ第8大学で当時フランスに亡命中のネグリに師事

幾島幸子[イクシマサチコ]
1951年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。翻訳家

水嶋一憲[ミズシマカズノリ]
1960年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。大阪産業大学経済学部教授

市田良彦[イチダヨシヒコ]
1957年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。神戸大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

30
民主的なマルチチュードがいかに形成され、日常生活や労働活動に能力と知識によって、いかに活気づけられるかを明らかにする(6頁)。マルチチュードは、単一の同一性には決して縮減できない無数の内的差異から成る(19頁)。多数多様性(20頁)。戦争は、社会の内部に存在する政治的な闘争や対立とは切り離されたもので、外側にある(34頁)。抵抗の形態が変化するさいには、3つの原則がある。第一は、史的な機会で、抵抗が生まれる。2021/01/06

またの名

14
そのネガティブさnegativityにこだわる姿勢を変えずに穿った考察を導く弁証法に忠実な点でジジェクが2ちゃんねる的と言えるなら、ポジティブでリア充的なSNSに喩えられるのがスピノザ=ドゥルーズ主義者のネグリとハート。911とその後の報復行動で戦争という例外状態が通常となった〈帝国〉の現状を、お得意の内在的ネットワークのモデルで整理し、古い階級概念を共なる肉・身体を持つマルチチュードとチェンジ。共なる非物質的労働の破壊力がデジタル情報の複製可能性によって私有制を脅かすことにあるという説明は急に解り易い。2015/04/23

なっぢ@断捨離実行中

7
ビッグネーム亡き後のフランス現代思想が社会学化していったように、資本主義が全球化した時代において抽象的思弁はもはやアクチュアリティを持っていないのかもしれない。21世紀のミル・プラトーは豊富な具体例を元に革命の青写真を仕立てあげマルチチュードの反乱を扇動する。ぼくもわたしもみんながマルチチュードだ。「外部」を消失した終わりなき日常の中でぼくらは苦しみあえいでいる。「ここではないどこか」を夢想したってどうせ空回る。「いまここ」でやれることを精一杯考える。それが今日において真に革命的なことだ。2017/02/01

takao

5
家主権の戦争から民族内紛へ。単一主権からマルチチュードへ。 集中型からネットワーク型。 こういった世の中のトレンド変化を踏まえた記述である。 ただ、本書は哲学の書であり、なぜかそういうトレンドとなっているのかや、処方箋を示しているわけでもない。 筆者達は左翼の復権とか、究極の民主主義を願うとは言っているが。 (スピノザの『政治論』が再解釈がベースらしい)2018/05/07

mirie0908

3
「ゲンロン0」で知り読まねばと思っていたのをやっとまだ上巻だけだが読了。戦争や労働の歴史的世界的分析が主で、マルチチュードそのものについては、まだおぼろげな理解。下巻を引き続き読もう。2019/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/438039
  • ご注意事項