NHKブックス
知られざる日本―山村の語る歴史世界

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910306
  • NDC分類 384
  • Cコード C1321

内容説明

日本の国土の大半を占めながら、生活文化水準の劣った後進地と見なされてきた“山”。歴史学から軽視されてきた山村の歴史を生業文化や生活文化の観点から積極的に捉え直す。狩猟、採集、焼畑、手工業生産など山村の「労働」に注目し、山の暮らしを支えてきた“循環”の思想に、右肩上がりの「発展」に疲れた現代社会への処方箋を見出す。気鋭の若手による渾身の力作。

目次

山村の現在をふり返る
第1部 山村の実像を探る(山村の生活文化体系とは何か―山中に建つ長屋門の家 山村だから貧しいのか;山村は閉ざされているか―落人伝説の残る世界)
第2部 山村はどう語られてきたか(文献史料は何を語るのか;外と内からの山村像)
新たな山村像を求めて

著者等紹介

白水智[シロウズサトシ]
1960年生まれ。中央大学大学院博士課程単位取得満期退学。中央学院大学助教授。専門は日本中世史・山村史・海村史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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takeapple

18
今まで日本史の叙述から除外されていたが、国土の7割を占める山村の歴史を資料に基づいて考察した本。網野善彦によって水田中心史観への疑問が出され、漁村・海民史、都市史は大分市民権を得てきたが、山民=山村史の部分が抜け落ちてきた。著者が言及しているように資料的制約が大きいが、目の付け所によればかなりの部分が明らかになるだろう。私も日光の奥の山村に住んでいるので、かつて自分の地域の歴史をまとめたことがあったのでとても興味深く読めた。秋山郷と早川入、行ってみたいところである。2018/05/27

T・Shirai

2
異能の歴史家網野善彦の批判的かつ正統的な継承者という印象を受ける。人間が生きるということはどういうことか、充実した豊かな人生とは何かを問い、考えていくのが歴史学であると改めて思い起こさせてくれる。2016/03/11

hatake

2
山村は貧しく不便で、昔から人々は苦労を強いられてきた……。多くの人は山村についてそのようなイメージを持つが、果たしてそれは本当なのか。また、なぜそのような誤ったイメージが定着してしまったのか。そういった疑問を解き明かしてくれる本。読めば自分の知らない世界の一端が見えてくるだろう。2013/05/06

ゆきっぺ

2
歴史の本だけど、読みやすい。読みやすいのに、考えさせられる。山村って、他地域との交流があって開かれていたんだなぁ、と興味深く読めました。

コーリー

1
「不便」「後進的」等マイナスのイメージで捉えられがちであった「山村」について、平地の稲作中心村落とは異なる労働体系や外部との関りを明らかにし、「山村は閉ざされた世界である」という平地から見た認識の再考を呼びかける。また歴史学の世界でそのような認識がなされてきた原因として、文献史料のもつ特性をあげ、その特性を理解しながら「常識的感覚」「知識」「嗅覚」をもって史料を読み込むことで、新たな情報を引き出すことも可能だという。「嗅覚」については、特に大事だと感じたが、一朝一夕では身につけることができそうにない。2019/11/07

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