NHKブックス<br> ドストエフスキー父殺しの文学〈下〉

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ドストエフスキー父殺しの文学〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 316p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910085
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C1398

内容説明

神か、革命か。皇帝権力とテロリストの果てしない闘い―「終末」の様相を深めるロシアの大地に、国家の囚人として生きる晩年のドストエフスキー。生身のキリストと罪なき子どもに託されたロシアと世界の救済。しかし、真実はどこに?『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』に刻まれた「教唆」のモチーフを辿り、ドストエフスキー文学における最大の謎「父殺し」をついに読み解く。

目次

第2部 聖なる徴のもとに(犠牲、欲望、象徴;使嗾する神々)
第3部 彷徨える大地の子ら(偶然の家族;プロとコントラ;解体の原理、復活のヴィジョン;「父殺し」の子どもたち)

著者等紹介

亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年、栃木県生まれ。東京外国語大学卒業、東京大学大学院博士課程単位取得退学。現、東京外国語大学教授。ロシア文学・文化論専攻。未来派の詩人フレーブニコフの研究からロシア文学に入り、その後、ロシア・アヴァンギャルド全体へ関心を広げ、現在は、スターリン時代の文化を研究の対象としている。主な関心は、全体主義の権力下に生きる芸術家たちの「良心」とサバイバルの手段としての芸術表現のありようだが、最近は、ソビエト時代の検閲システムにも関心を寄せ、同時代の文学さらに表象文化全般をめぐって批評活動を行っている。著書に、『磔のロシア―スターリンと芸術家たち』(岩波書店、第29回大仏次郎賞受賞)他多数
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ベイス

53
ドストエフスキーにとって「父殺し」というテーマがいかに宿命的なものであったかを読み解いていく作業は非常にスリリングだった。亀山さんは100分de名著でも鋭い分析と明快な語り口で「異才感」を放っていたが、結論めいた言説にいく「手前」ではぐらかすところがあるのと、謎かけのきっかけがやや独善的なので、読み進めるのにはかなり苦労した。『カラマーゾフの兄弟』はわたしにとって宝物のような小説で、軽々には再読したくないのだが、また手にとってみようかな。読友のみなさま、本年もよろしくお願い致します。2022/01/02

ころこ

37
あとがきに師匠・原卓也の名前が2度も登場し、愛憎半ばする謝辞が述べられています。「父殺し」とは、この原との関係を連想させるのは的外れでないでしょう。原が著者の思い込みをたしなめたとされるのは、どうやらドストエフスキーの思い込み気質に対して著者が小説に対する自身の思い込みをぶつけてしまったからだと読めます。一度は挫折した思いを著者はやはりドストエフスキーの思い込みに対して思い込みで応答し、今度は本書で「父殺し」として成就してみせた。著者ならば路上の中央で皇帝を殺害してみせたテロリストだとまで宣言しそうですが2021/04/29

踊る猫

25
サディズム/マゾヒズム、父殺し、その他様々な政治的/文化的トピックを軸に著者はドストエフスキーを読み解いて行く。私自身の不勉強が祟って分からない箇所も多々あったので再読が必要な本であるとは思うが、読み応えはある。ただ、ドストエフスキーを知らない読者に本書のマニアックで濃い内容が伝わるかというと心許ない。とは言え擦れっ枯らしの読者にしてみればルポルタージュ的な要素の濃い部分は余計にも感じられるのではないか。そのあたり、腰が据わっていないとも言えるしヴァラエティに富んでいるとも言える。亀山氏の底力を見た思いだ2018/02/01

amanon

9
改めてドストエフスキーという小説家の奥の深さ…というより得体の知れない不気味さ、麻薬的な中毒性を孕む魅力を痛感した次第。また、本書で列挙される幼児虐待、繰り返されるテロル、数えきれない程の凶悪犯罪や不安に満ちた世相に、今日の日本に近いものを覚えた。そして本書のテーマである〈父殺し〉という概念が、父親だけに留まらず、兄弟間にも及ぶというくだりに、思わず見につまされてしまった。いみじくも終盤で大きくとりあげられる、カラマーゾフ家のイワンと同じく三人兄弟の次男であるだけ尚更…後、『未成年』を読み返したくなった。2023/12/17

翡翠

8
ドストエフスキー本家と並行して読了。年代でなくテーマによりまとめられている為、話があちこち飛んで判りにくい面はあるが、難解な作品を読み解くにはとても助けとなる。彼の人生と照らし合わせ、作品の核となるテーマがどのように発展していったのか、なかなかに興味深いものだった。2021/05/06

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