内容説明
欲望や情念を煽り追い立てられている日本人。一方で、古来より日本には、心の習慣として識らず識らずのうちに蓄積されてきた、煽りを鎮める文化があった。民俗や日本仏教の伝統の深層にある、これら「鎮めの文化」を再発掘し、現代社会が抱える悩みからの脱却の方向性をさぐる。宗教社会学の恰好の入門書。
目次
第1章 魂鎮めと「民俗のこころ」
第2章 近代化と宗教的エートス
第3章 「煽る文化」の発端と末路
第4章 「勉強」のすすめ―または「禁欲的頑張る主義」
第5章 日本人のイエ意識
第6章 イエを捨て、世も捨てて
第7章 撤退の思想
第8章 親鸞聖人伝説
第9章 “ご開山”と中興上人
第10章 親鸞聖人と聖徳太子
第11章 『歎異抄』を鎮める
第12章 十五世紀の知恵を、二十一世紀へ