シリーズ・哲学のエッセンス
カント―世界の限界を経験することは可能か

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  • サイズ B6判/ページ数 125p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140093030
  • NDC分類 134.2
  • Cコード C3310

内容説明

ひとはなぜ世界の始まりや果てについて考えてしまうのか。「不可能なもの」をめぐる経験とはなにか。カントの哲学的思考を鮮やかにとらえる。

目次

序章 青ぞらのはてのはて(問いの始まりへ;世界の始まりをめぐる思考)
第1章 世界は始まりをもつか?(世界の限界をめぐる問いへ;世界は有限か、無限か? ほか)
第2章 神は世界のそとにある?(「見ること」とその形式;見えるもの、見えないもの ほか)
第3章 「不可能なもの」をめぐる経験(感覚と、感覚を超えるもの;美しいことと気高いこと ほか)

著者等紹介

熊野純彦[クマノスミヒコ]
1958年神奈川県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。同大学院博士課程単位取得退学。東北大学文学部助教授等を経て、現在、東京大学文学部助教授。専門は倫理学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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harass

63
テーマを限定してごく触りだけで有名哲学者の思想を伝えるシリーズ。今回はカント。パラっとみた限りでは、前に読んだ石川本と同じように初っ端に、4つのアンティノミーが羅列してあって、どっちかのネタ本かと考えたが、語っている内容は違っていた。カントは人間の理性の仕組みを示して、その限界を論じるのだが、同時に神という人間を超える存在についても語っている。そして「崇高さ」の意味合いも。思想の巨人であるカントの偉大さと古びていないアイデアをわかり易く語っている。100ページちょっとでまとめることにも感心。2017/09/06

しんすけ

8
印象的な記述があった。「美において構想力は戯れ、崇高なもののまえで構想力は真摯となる。」p103 対象を観測する行為を側面から表現したように、ぼくには観える。つまり観測を観測することである。これはトートロジーでなく再帰性という側面である。「美しい」、「素晴らしい」といっても表現するだけなら個人的見解に過ぎない。一般性に至るには、何らかの関係と量的表現を経ることが必要になる。この観測過程に、カントは数学的考察を導入している。そこにカントの超越性の端緒があり得るとも云える。2018/05/05

非日常口

7
境界を問うた哲学者カントの思考の中でもアンチノミーに焦点を絞り、見えない物自体と見える現象の違いから超越論的観念論が経験的実在性と超越的観念性という二重の性格を認めることと簡潔に解説。時空はアプリオリに存在する現象のための条件であり、経験からは認識は生じない。世界をめぐる経験とそれを越えた地平、無限の時空に神が遍在するイメージ。直観というように世界的にもこの言葉は見ることに対応するらしく、その先には超越する崇高と形式を持つ美を求める欲望が共通してあるように感じた。2013/09/26

ゆきだるま

6
我々は時間と空間の中でしか生きられないので、その中のものしか認識できない。その時空の中での都度の経験の総合が我々の「世界」である(つまり、世界は都度変化する)。一方、神、永遠、無限といったものはその世界の外にあるので、我々は認識できない。呈示されてないもの=深淵として呈示される。しかし、その境界=我々の世界の可能性から外部へとの不可能性へとが近接するところでは我々の内部にあるかすかな神的なものがほんの一瞬ほのみえ、きらめく。なるほど、なるほど。2022/09/17

らむだ

5
哲学のエッセンスというシリーズ名に相応しく、出来るだけ簡潔にカント哲学における『アンチノミー』と『崇高』の概念がまとめられている。短い本ではあるがエッセンスがギュッと詰まっているので読み応えは十分。巻末の読書案内も充実している。2023/06/06

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