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シリーズ・哲学のエッセンス
ニーチェ―どうして同情してはいけないのか

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  • サイズ B6判/ページ数 126p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140092996
  • NDC分類 134.9
  • Cコード C3310

内容説明

他者の不幸を同情する感情には巧妙に仕組まれた正当防衛が含まれているという。「同情の禁止」をキーワードにニーチェの人生=作品を読み解く。

目次

1 悲劇とソクラテス―ディオニュソス的二重性(作品としての人生;「書きもの」への引きこもり;ニーチェにおける「三段階の変化」 ほか)
2 生と死の遠近法―至福体験の影(病者の視点;海の比喩;ルクレティウスと死者の視点 ほか)
3 永遠回帰―「メニッペア」風に(『ツァラトゥストラ』における「三段階の変化」;ニーチェの『動物誌』;鷲と蛇―あるいは、飛翔と円環 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

14
同情してはいけないという言葉に、ニーチェのキリスト教批判の書物だと思っていたが、「こういう理由だから同情してはいけないのである」との解説的な論旨は、「はじめに」と「Ⅰ悲劇とソクラテス」にあったくらいで、大半はニーチェ著作に散在するニーチェの思考の基礎になっているギリシャ文化(哲学・芸術・神話など)観の解説注釈的な本であった。著者の専門であるソクラテス・プラトンの他ギリシャ哲学の知識が活かされて、ニーチェ「悲劇の誕生」の著者の洞察で、素人のわたしは、古代文献学者だったニーチェの知識の高みを思い知らされた。2011/05/27

さえきかずひこ

13
哲学YouTuberの高等遊民さんに「ニーチェとストア派の哲学の共通点を知るにはまず何を読めば良いのか」と訊ねたら彼が教えてくれた本。著者が本気で書いた入門書であり、文学についての含蓄にも大いに富む。後半はバフチンの文学理論に結びつけて『ツァラトゥストラ』を分析しているのだが、その手付きがとても見事で、同書を読みたくて堪らなくなってしまい、読みながら困った。読み手にニーチェの著作に触れさせたくさせるのは入門書の第一の役割で、それは果たされているが、その対象が『ツァラトゥストラ』でいいのかなという気はする。2018/12/07

うえ

7
ニーチェ『悲劇の誕生』は悲劇の起源についての本だと勘違いされていた。フーコーの論文では、ニーチェは発生、来歴、出来、系譜、誕生という一群の語を使うことで、起源の語の特権性を無効にしようとしている、という。著者は折口信夫『日本文学の発生序説』を引用しつつ、折口は起源の否定というより、起源の無化を、フーコーと同じく表明しているのだという。「折口の場合、歌を発生させているものは、つねに今もすでに働いているのでなければならない。」更にニーチェはヘラクレイトスから、万物流転、永遠の流動を学んでいた。2019/11/17

nappa

5
ニーチェの『曙光』から神崎さんが要約したものを抜粋。「他者の不幸に同情するという、おそらく誰もとがめ立てするはずのない感情には、実はその他者を救えない自分の無力と、その無力さをさらけ出す苦痛を免れるために、巧妙に仕組まれた正当防衛が含まれているということである。それは、一種の復讐でさえある」ニーチェ思想で誤解されがちな「同情の禁止」は、同情することによって自分を慰めているような人たちに対する批判なのだ。ニーチェは同情することから目を逸したのではなく、むしろ向き合おうとした哲学者。2015/02/27

フリウリ

4
イポリット、フーコー、そして折口を引きながら、ニーチェが「発生」「誕生」などという時、「起源」という考え方を無効化しているのだ、という論の紹介は、なるほどと思いました。ドストエフスキー、バフチンとの関連の指摘などもありつつ、全体としてニーチェをギリシャ・ローマ哲学との関係性で語っています。哲学史的な「正統性」において追求する意図、「ドゥルーズのニーチェ論を読むくらいなら」などの軽口、また、「曙光」を「朝焼けの輝き」と言い換える言語感覚などは、わたしにはどうも……です。52024/02/06

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