エドガー・ソーテル物語

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  • サイズ A5判/ページ数 734p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140056042
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

生まれつき声を持たず、手話だけで話す少年エドガー・ソーテルは、ウィスコンシン州北部の人里離れた農場で両親といっしょに暮らしていた。数世代にわたってソーテル家は、ある犬種の育種と訓練を行ってきた。思慮深く人に寄り添うその気質は、エドガーの生涯の友で、かたい絆で結ばれた犬アーモンディンに典型的にみてとれる。しかし、叔父のクロードの予期せぬ帰郷によって、ソーテル家の平穏な暮らしが乱されていく。父の突然の死に打ちひしがれたエドガーは、その死にクロードがかかわっている事実をつきとめようとしてさらなる惨事を起こしてしまう。農場の向こうに広がる広大な森の中へと逃げることを余儀なくされたエドガーは、彼についてきた3匹の犬とともに生き続けようと奮闘し、大自然の中で否応なく成長していく―。北部森林地帯に広がるアメリカの原風景を舞台に描かれた家族の一大サーガにして現代の古典。

著者等紹介

ロブレスキー,デイヴィッド[ロブレスキー,デイヴィッド][Wroblewski,David]
ウィスコンシン州の田舎で育つ。ウォレン・ウィルソン大学創作プログラムにて修士学位を取得。その後25年間ソフトウェア開発に携わったのち、小説を書きはじめる。現在は、やはり作家であるパートナー、キンバリー・マクリントックとともにコロラド州に住んでいる。『エドガー・ソーテル物語』がデビュー作である

金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年岡山市生まれ。翻訳家・児童文学研究家・法政大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

83
三代続けて、精神・能力共に気高いソーテル犬を生み出してきたソーテル家。優しく、思慮深いエドガーは口が聞けないが、理解者である両親と犬に寄り添えた生活に満ち足りていた。父と不仲の叔父クロードが帰ってくるまでは。この物語は『ハムレット』を下敷きにしている。最も私は若さ故の潔癖で周囲に災厄をばら蒔いているとしか思えないハムレットは嫌いなのだが、この物語のエドガーはまだ、好感が持てます。それはエドガーを助けてエドガーに内省を促せるヘンリーの存在があったからだろう。そして毒を手にしたクロードの追い詰められ方は虚しい2017/09/05

星落秋風五丈原

26
この物語は、古典的な作品がベースになっている。しかし、オリジナルが人間のみのドラマであるのに対し、本作は犬が絡んで来る。多視点で描かれる本作では、時に彼等も主役を張り、時に主人公の行く末を決定づける。そして、言葉を持つからこそ不器用にぶつかりあう人間の営みを、ただ思慮深く見つめ、彼等に寄り添う。オリジナルでは、ある王国が舞台だったが、独自の性質を持つ犬を三代にわたって育ててきた一家もまた、一種の王国である。その総帥が突然亡くなり、残された妻と息子、父の弟、その友人達の関係が捻じれてゆく。2013/12/02

みー

12
とても重厚で、余韻深い物語であった。ハムレットを土台としているとの事で、この物語の行き着く先の悲劇を分かりつつ読み進めることとなるが・・心のどこかで、悲劇ではない結末を期待してしまう。それくらい、少年の心情や背景がとても丁寧に掘り下げられ描かれており、また彼らと共に生きる犬たちが逞しく愛おしいのだ。未来に踏み出される、ソテール犬の力強いその一歩は人間の及ぶ処ではないのかもしれない・・。表紙の絵が物語とマッチしているのも素晴らしい。その内容を噛み締めるように、1ページ1ページを大切にめくって読んだ・・・2014/10/03

39@中四国読メの会コミュ参加中

8
物語全体をほの暗い雰囲気に包まれていて、2部以降からは読んでいて悲しいというか切ないというか…。人間同士の複雑な関係や様々な思惑の絡み合い、対して犬との絆・信頼も丁寧に書かれていてこの世界にはまりこんでしまった。読み終えた時は、なんとも言えない余韻が…。ただ始まりのあたりは中々話が進まずに読んでいて、しんどくなったりもしたけれど。2012/09/14

ミグ

7
ソーテル犬としか呼びようのない特別な犬を生み出すブリーダー3代のお話。口のきけないエドガーとアーモンディンの信頼関係はすばらしい。アーモンディンが語り手になっている章など聡明さや人間への信頼があふれていて、あまりの真っ直ぐさにこちらが苦しくなるほど。エドガーが家出を余儀なくされてから帰還する時人生とは運と偶然の川を泳いでいるようなものだ(P606)と悟っている所に大きな成長を見た。長いが5部で緊迫の結末を迎えて辛すぎるなぁと思いましたが、ひたすら本の世界にひたれて幸せな時間を与えてくれてありがとうと思った2012/05/30

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