NHKブックス
心を生みだす脳のシステム―「私」というミステリー

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140019313
  • NDC分類 491.371
  • Cコード C1311

内容説明

なぜ、脳という物質に心が宿るのか?視覚や感情の脳内メカニズムはどのようになっているのか?身体感覚や時間意識、他者に共感する能力など、心の複雑で豊かな営みは、脳内でどのようにして生まれるのか?千億のニューロン(神経細胞)が互いに関係性を持つことから生じる、脳のシステムとしての性質に、これらの謎を解きあかす、最大の鍵がある。脳科学の俊英が、システム論的アプローチという最新の知見をふまえ、自己意識をめぐる深遠な問題に挑む、スリリングな一冊。

目次

1 脳内現象としての「私」(脳の中に鏡があった―システム論の衝撃;「私」とはクオリアの塊である―感覚的クオリアと志向的クオリア;言葉の意味が立ち上がるとき―志向性と言語)
2 世界を把握する方法(身体感覚のダイナミズム―ボディ・イメージの仕組み;アフォーダンスとは何か―脳と環境の相互作用)
3 「私」という視点が生まれるとき(鏡の中の「私」―自己意識の謎を追う;なぜ、他人の心が読みとれるのか―共感する能力・表象化する能力)
4 主観と客観はどう統合されるのか(「私」の背後に隠されたもの―感情と情動;脳の中の時間、心の中の時間―リアリティが生じる理由;新たなるシステム論へ向けて)

著者等紹介

茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー。東京工業大学大学院客員助教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学理学系大学院物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専攻は脳科学、生物物理学
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

22
茂木健一郎のフットワークの軽さに唸る。彼は脳科学のフィールドだけに留まらず永井均やウィトゲンシュタインの研究/哲学も視野に入れて論を展開させ、「心とは何か」「私とは何か」といった端的な、あまりに単純すぎる(むろんいい意味でだが)問題に果敢に切り込む。そこにあるのは茂木の愚直な好奇心と繊細な感受性の発露である。「クオリア」を発見した日の驚きをそのまま彼は忘れることなく、さらに未知の領域に踏み込まんと果敢に資料を読み、研究を重ねる。そんな彼の熱意がここにこの一冊となって結実した。バランス感覚に富んだ本だと思う2022/07/07

あっきー

18
⭐4 一般向けの難しすぎない良い本だった、クオリア、ニューロンなど茂木の考えが分かりやすくまとまっていて少し理解できたような気がする、2001年の本でまだ分かっていないことも多かったと思うが最近の情報も知りたいと思った、一番知りたかった記憶がどこにあるのかははっきり言ってなかったな… 2021/09/13

kuukazoo

7
本棚の隅に放置されてた約20年前の本。脳の働き(ニューロンのネットワーク)によって心が心として認識される過程や、共感能力、自己意識、感情、身体イメージなどについて、脳神経科学や認知科学や心理学などからいろいろなトピックを取り上げつつ解説、というか著者の大好きな「クオリア」を軸に自説を展開。なにぶん初出から時間が経っているのでこのあたりの知見も随分更新されているのかなとは思うが、読みものとしては面白かった。2022/01/20

Prussian_Blue

3
10年ほど前に授業の参考書だったものを引っ張り出して再読。帯の推薦文が養老孟司で、まだネームバリューが養老>茂木だった時代を偲ばせるw2001年初版だが内容は古びておらず(それはまだこの分野でブレイクスルーが起こっていないということでもあるが)、心の理論やクオリアについてはこれ一冊読んでおけば最新の議論にも大体ついていけるはず。近年はすっかり「脳科学おじさん」と化した著者だが、身近な例や実験の図解を通して分かり易く解説する能力はバラエティ番組のみならず本書においても十二分に発揮されている。A2013/01/23

Okatai

2
前半は少し専門的な話が多くとっつきにくいところあったが、後半は脳と意識(心)という主題にフォーカスされていて勉強になった。クオリアという言葉すら知らなかった自分にとっては、脳を理解するのにとても参考になる一冊。志向性クオリアがあるから、その起点となっているのが自身の心である、という考え方はしっくりと来る。でも、だとしたら心はまるで虚像で、便宜的に脳がそう定義付けしているとも言えないか。意識というものに対する謎はますます深まった様な気分。2017/05/18

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