内容説明
在独日本大使館員として勤務していた筆者は激しい独ソ攻防戦の最中、館地下室に籠城し密かに戦況を誌した。貴重な歴史体験を語る。克明に綴られた第二次大戦の〔終りの日々〕。
目次
第1章 大戦前夜のヨーロッパ(ロシア語研究員第1号;バルト海のほとりで;東欧諸国を歴訪;戦争の勃発)
第2章 破滅の道をたどるドイツ(ベルリンで大使館勤務;ヒトラー作戦の失敗;寄妙な同盟;第二戦線とヒトラー暗殺計画;東西からの挟撃)
第3章 ベルリン籠城(大使、ベルリンを去る;戦場と化したベルリン;ヒトラーの最期を知る)
第4章 2回の終戦(ドイツの降服;占領下のベルリン;ベルリンから東京へ;ソ連を通じる和平工作)
第5章 よみがえる旧日本大使館(戦後の日本とドイツ;ベルリン日独センターの誕生)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
8
第二次大戦直前、ロシア語の語学研修のためにヨーロッパに派遣され、大戦勃発後はドイツ大使館勤務になった著者が、その大戦前後に渡る体験を綴ったもの。特に、1945年4月、ソ連軍が迫るベルリンの日本大使館に残った後の約二週間の日記は、ドイツ最後の日々をリアルタイムで記録した貴重な内容。4月25日には大使館前で休憩していたパンター戦車の搭乗員と話し、「距離500mで(ソ連の)T34戦車を撃破した」と聞いたという。「態度立派ナ青年ナリ」とのこと。ドイツ降伏後はソ連軍に一時拘束され、シベリアー満州経由で帰国した。2022/02/23
アカ
1
大戦下のベルリンの休日風景や、配給の列など、ちょっとした日常風景が、実際に現場に居た方ならではだと思いました。 ドイツ降伏後の日本人外交官、しかもソ連と接触があった方のグループが、日本まで帰れた、という事に驚きました。ソ連軍と対等にやり合ってたのがすごい。 大使館自体は、英国占領地区にあったのに帰れたのがちょっと不思議。ソ連が先にベルリンに入ったから?? 日本の防空壕とドイツの差が…。2010/04/01