NHKブックス<br> 大衆の病理―袋小路にたちすくむ戦後日本

NHKブックス
大衆の病理―袋小路にたちすくむ戦後日本

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  • サイズ B6判/ページ数 23p
  • 商品コード 9784140015186
  • NDC分類 361.62
  • Cコード C1336

内容説明

進歩主義を指標とした戦後日本のイデオロギーに批判の矢を放ち、「豊かさ」と「等しさ」を実現した高度大衆社会の虚妄を鋭く問いただす。

目次

1 マスとは何か
2 大衆批判の系譜
3 大衆論の枠組み
4 高度大衆社会としての戦後日本
5 ビジネス文明の虚妄
6 民主主義の過剰
7 産業主義の歪曲
8 進歩主義の融解
9 相対主義の陥穽
10 政治と言論
11 経済と欲望
12 文化と知識
結 保守主義の本質

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

日の光と暁の藍

6
近代化が、どうして金銭崇拝や欲望の限りない追求をもたらすのか、疑問に思っていた。本書がその問いに対するヒントを与えてくれたように思う。近代化とは、西部氏によると、産業化と民主化であるという。産業化とは、すなわち物質的幸福を人々にもたらすものであり、それは人間に対し快楽主義を植え付ける。快楽主義は、未知の快楽を人々が追求することを促す。それには終わりというものがない。また、現代日本は民主化を実現したはずが、そのことにより知的に不完全な大衆に権力が与えられ、逆説的に民主化が実は損なわれているのでは、と思った。2021/01/02

マウンテンゴリラ

2
今から約30年前、著者が40代後半の頃の作品であるが、過度の大衆化の中に、日本の危機を読み取り、それが何故に危機であるのかを理路整然と解き明かす。そういった構造は、著者が他界するまで一貫して主張されてきたということをあらためて感じさせられた。それを私なりの稚拙な解釈によってまとめると、伝統を保守する精神を失い、進歩=経済発展、平等、権利、平和といった上滑りする価値のみを求める危うさを警告するものと捉えられた。それを危機と捉えずに、その後30年もの間、ますます高度な大衆社会を築いてきた日本。→(2)2018/11/24

くらひで

0
約25年ぶりに再読。保守主義者を自称する著者の初期の作品で、白痴化が進む現代日本の高度大衆社会に向けて警告を発している。それから時を経て、今の時代に移ったが、状況はさらに悪い方向に進行していると見るのは、私だけではないだろう。戦後日本は、米国の庇護の下、民主化と産業化を推進し、誤った「自由と平等」「功利主義」「個人主義」が蔓延し、その危機的状況に社会全体が不感症となっている批判は、今も有効だ。  この著書が発行された直後に「東大駒場騒動」が勃発し、西部は東大を去る。2014/07/13

万次

0
ともすれば、「大衆批判の本」というと、高みから「愚民」を見下したエリート主義のものと誤解されやすい。しかし西部邁の言うそれは、そうではないのだ、ということがよく理解できる一冊。NHK教育テレビでの講義をまとめたものということで、端折らず、懇切丁寧に、アカデミックに「大衆」と「庶民」の違いが語られている。

草生やすな

0
信仰への誘い!2013/04/05

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