出版社内容情報
日本人の思考ベースを培ってきた「古典日本語」とは何か、漢字によって支えられた古典の風景がめくるめく展開する。
目次
第1部 古代(文字の文化世界の形成―東アジア古典古代;漢字と非漢文の空間―八世紀の文字世界;漢字と『万葉集』―古代列島社会の言語状況)
第2部 中世(漢文体と和文体の間―平安中世の文学作品;「抄物」の世界―室町時代の言語生活;世阿弥の身体論―漢文で書くこと)
第3部 近世・近代(頼山陽の漢詩文―近世後期の転換点;読み書きの風景―幕末明治の漢詩文;夏目漱石の『文学論』―漢学に所謂文学と英語に所謂文学)
感想・レビュー
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大猫熊
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いまなら、さしづめ英語がつくる日本か。この漢字がつくる日本を、言葉と理解しているかどうか。つまり、漢字であっても文字であっても言葉なのである。アルファベットがつくる日本ではおかしいだろう。それがこのテキストの考え方にあるかどうかが問われる。日本語で言う文学史を文字史に置き換えようとする作業に見える。二重の倒錯(70ページ)という説明がわからない。二重言語生活と捉えているのも日本語ではない。古典文(128ペ)という定義が漢文と対比されたり、規範の基準の時代といったり、ラテン語のようにして見るのも偏りがある。2012/04/04