出版社内容情報
1998年秋,東京大学大学院にて建築学専攻の学生たちに対して行われた講義を集成.都市と建築,自作解題,芸術と建築,そして原点ともいえる20代に考えたこと……建築を語り,人生を語る.希代の建築家が若い世代へ贈る熱いメッセージ.比類なき建築論.図版多数.
内容説明
東京大学大学院における講義の集成。若い世代へ贈る熱いメッセージ、比類なき建築論。
目次
序 発想するちから
第1講 インターナショナリズムとリージョナリズム
第2講 建築に夢をみた
第3講 抽象化と場所性のあいだで
第4講 命ある建築をめざして
第5講 プロセスのなかで思考する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tuppo
2
20代のうちに自分はこういう都市に住んでみたい。こんなことをしてみたいという考えをしっかり見据えて生きていかないとついつい現状の解決策だけで建築の設計をしていくことになります。私はそれだけはしたくない。こうなると夢も希望もありません。/与えられた課題の解決だけではその建物は建築にはならないでしょう。何より大切なのは自分との対話の中でどれだけ自らの意思を明確にしそれを建築的なコンセプトとして建物ができるまで貫けるかということです。この計画で強く私の頭にあったのは境界のない建築ということでした。2019/07/03
Haruko
2
美しいコンクリートを打つ職人に敬意を表し「私」ではなく「我々の建築」と語る東大大学院での連続講義 。「私」が学生に「みなさん」と語りかける現代建築史。「ます 思います」と話言葉、静かな夜に読めば、あのだみ声が聞こえてくるようだ。先日7月24日のゲリラ豪雨で浸水してしまった渋谷駅 、 新国立競技場での発言を残念に思っていたので再読。彼ほど公衆に語り掛ける建築家も珍しい この頃打たれっぱなしだが、明日のジョーのように立ち上がってほしいものだ。2015/07/29
y_yasuda
0
東大での講義集成ということで読んでみた。著者の文章は、実際にその建物を自分の目で見てみたいという衝動を喚起させる点で非常にうまい。自分の目で足で建築を見て回ったからこその魅力が込められている。伝統に対する著者の考え方は「精神性の継承」。でもそれでは各々の伝統解釈が発生してしまう。個人的に伝統は様式だと思うので丹下氏の考え方に賛成。形としての伝統を継承しつつ新規性を取り入れる方が、扱う問題としては難易度が1つ上がると思う。丹下氏の細かな思想までは追っていないので何とも言えないが、そこら辺を今後比較したい。2013/09/18
キタキツネ
0
いろんな物を歩いて見て回り、いろんなことをしっかり考えていきたい。安藤忠雄さんの考え方は、とても魅力的である。2013/07/11
nizimasu
0
建築というのは、己の哲学を反映する営みと、法的規制や施主など時に相反することに折り合いを付けていく。安藤氏は、そこに妥協なき情熱を混めているというのが実に良くわかる。そこには、独学ながら深い考察や建築に対する造詣があり驚かされること多し2011/04/20