出版社内容情報
市場メカニズムが有効に機能するために必要不可欠な金融システムの安定的かつ効率的運営およびその管理はどのようになされるべきなのか.日本のみならず,欧米やアジアにおける金融危機の経験,問題点を検討し,望ましいシステム管理のあり方やその方向性を探る.
内容説明
本書は、金融システムを巡る問題に焦点を当てている。金融システムは、社会的共通資本を広義の制度的な側面からとらえた概念である「制度資本」を構成する重要な一要素であり、金融システムの安定的かつ効率的な運営および管理は、市場メカニズムが有効に機能するための必要不可欠な条件である。第5号において、信用秩序、学校教育、医療、都市におけるセキュリティなどを対象に広範な分析がなされた「制度資本」のうち金融システムに関する問題を理論と実証の両面から掘り下げ、問題の本質を探った。
目次
第1部 日本の金融システム危機と銀行管理のあり方(日本の金融危機から何を学ぶか―金融システムと企業経営統治;金融システムの脆弱性と天下り;銀行に監視能力は存在したか?―過剰債務問題の視点から;自己資本比率規制と不良債権の銀行貸出への影響)
第2部 欧米における経験(アメリカの預金保険制度と銀行破綻;国際的な金融規制・監督政策の展開;投機と通貨防衛―欧州通貨危機からの経験)
第3部 東アジアの金融問題(アジア通貨危機とIMFの対応;市場経済移行国における金融と資源配分の問題―ベトナムの事例を中心に)