出版社内容情報
今日の国家は,もはや従来の社会科学が前提としてきた「国民国家」ではない.地域統合によるトランスナショナルな空間が生まれているが,「国民国家」への固執と分離への志向も依然として強い.境界設定の変更を跡づけながら,人びとの意識の変化と市民権の変容を明らかにし,「国民国家」の行方を探る.
目次
序 国民国家―その変化の現状と多様なゆくえ
1 地域の統合と民族の分離―ヨーロッパにおける「民族」をめぐる二つの文脈
2 人の自由移動と国家を越える市民権―ヨーロッパ統合のなかで
3 言語からみた国民国家の変容―フランス・ブルターニュ地方の事例を中心に
4 トランスナショナル空間の成立と文化の分節化―アルザスを事例に
5 民族の定義と国際関係―「マケドニア人」をてがかりに
6 NAFTA圏と国民国家のバウンダリー―経済統合の中での境界の再編成
7 先住民と国民国家―カナダ・ケベック州を中心に
8 外国人・移民政策と国民国家の論理―日本の場合
著者等紹介
梶田孝道[カジタタカミチ]
一橋大学大学院社会学研究科教授
小倉充夫[オグラミツオ]
津田塾大学学芸学部教授
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