出版社内容情報
言葉は政治的に操作されるだけでなく、特定の歴史的・社会的文脈において政治および人間を拘束する。多義性をもつ言葉の意味変化を分析し、近現代日本の政治文化の特質を明らかにする。
[主要目次]下巻 前篇:「平和」の両義性~意味論的変化 後篇:「くに」とは何か ~「国家」観と「国民」観(上巻 序:政治のなかの言葉とその意味 前篇:「自由」のさまざまな意味~その歴史的変化 後篇:福祉観念の比較政治文化的特質)<毎日出版文化賞受賞>(初版:1988年)
内容説明
上巻の序のなかであげた本書の目的、すなわち「言葉の人間に対する支配から人間を解放するために、政治の世界における言葉の意味の変化に注目し、…言葉の意味の変化を歴史的・社会的文脈の中で分析する」ための作業に、すでに上下2冊、400字づめ原稿用紙でおよそ1000枚の紙面を費した。「同じ言葉の意味は決して常に同じではない」という一般的命題の正しさを証明し、言葉の厳密な用法の必要性を提唱するだけのためであれば、すでに十分多くを語ったといえるだろう。
目次
前篇 「平和」の両義性―意味論的変化(「平和」の意味論の意義;「東洋平和」のための戦争と非戦論;「世界平和の趨勢」と「民本化」;「平和秩序としての東亜協同体」 ほか)
後篇 「くに」とは何か―「国家」観と「国民」観(「国家」観と「国民」観の関連;「国家」形成と「国民」形成;大正デモクラシーと「国家」の相対化;国家主義批判から「国防国家」論へ ほか)