出版社内容情報
言葉は政治的に操作されるだけでなく、特定の歴史的・社会的文脈において政治および人間を拘束する。多義性をもつ言葉の意味変化を分析し、近現代日本の政治文化の特質を明らかにする。
[主要目次]上巻 序:政治のなかの言葉とその意味 前篇:「自由」のさまざまな意味~その歴史的変化 後篇:福祉観念の比較政治文化的特質(下巻 前篇:「平和」の両義性―意味論的変化 後篇 「くに」とは何か ~「国家」観と「国民」観)<毎日出版文化賞受賞>(初版:1988年)
多義性をもつ言葉の意味変化を分析し,近現代日本の政治文化の特質を明らかにする.上巻は「自由」と「福祉」,下巻は「平和」と「国家」.
内容説明
以下二冊にわたって展開される研究は、「自由」「平和」ということばの意味内容の多義性と力点の変化を問題とする篇と、福祉観、国家観の変化を言葉との関係でとりあげようとする篇とから成る。上巻が「自由」と「福祉」、そして下巻が「平和」と「国家」を扱う部分から成るという順序は、完全に技術的便宜の問題―上下各巻をあまり厚さのちがいのないものにするという配慮―によるものである。接近方法の類似性という面からみれば、「自由」と「平和」が一つのグループをなし、「福祉」と「国家」がもう一つのグループをなすといえる。
目次
前篇 「自由」のさまざまな意味―その歴史的変化(伝統的要素と西欧的要素の二元的対立観;西欧諸「自由」概念の導入と伝統的要素;大正デモクラシーと「自由」;昭和初期の「自由主義」論議 ほか)
後篇 福祉観念の比較政治文化的特質(課題と視角;伝統的慈善救済事業観と西欧の理念;「社会事業」の展開と「社会連帯」の観念;「厚生事業」への途とナチズムの影響 ほか)