出版社内容情報
これまでにも戦後歴史学の行き詰まりを反省しつつ,「近代日本像」そのものの再検討の要が語られることはあった.本巻では,そうした自問自答を現時点の言語状況とつきあわせつつ再検討し,あえて大胆に,近代「日本」像,あるいは反「日本」像を描きだすことを試みる.
内容説明
歴史学を歴史化する。私たちに「日本」「近代」像を提示しつづけてきた、これまでの歴史学を相対化し、あらたな叙述を試みる。
目次
1 近代はどう描かれてきたか(パンドラの箱―民衆思想史研究の課題;鏡の部屋―アメリカの日本歴史研究)
2 イメージの解体へ(近世の出版文化と“日本”;暴力の近代化;日本史と国民的責任)
著者等紹介
ひろたまさき[ヒロタマサキ]
本名・廣田昌希。歴史研究者
グラック,キャロル[グラック,キャロル][Gluck,Carol]
コロンビア大学
酒井直樹[サカイナオキ]
コーネル大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あだこ
2
錚々たる面子による近代歴史学批判。やや入門的な要素も強いが参考になった。2009/04/06
amabarashi
1
史学史を確認できる本。民衆史研究登場の背景がわかる。一揆と明治初期のとある暴動殺人事件を比較して暴力の性質の変容をとうハウエル論文に興味ひかれた。酒井論文の「歴史と責任」のくだりも原発問題を連想する。「この問いかけられている私の同一性は固定したものではなく、相手が変わればそれに応じてダイナミックに変化するものである。しかし、あなたとの関係においてはあなたと対照的に限定された同一性から逃れるわけにはいかない。なぜなら、私とあなたとの関係には歴史があるからであり、現存する差別は歴史に根をもっているからだ。」2011/08/19