出版社内容情報
〈ヨーロッパ都市〉と二項対立的に措定された〈イスラム都市〉の概念は,ヨーロッパ人の偏見=オリエンタリズムの産物であった.本書は,イスラム世界の中核をなす五地域の都市研究史の到達点を整理し,イスラム都市研究の多様化と,総合化への道筋を探る.
内容説明
本書は、イスラム世界の都市を対象とした研究の歴史をたどり、そのテーマや方法を整理・検討することによって、従来の研究が有した問題点を明らかにするとともに、今後の研究の課題を探ろうとするものである。
目次
序章 イスラム都市論の解体
アラブ1 マグリブ(歴史的概観;最近の研究動向)
アラブ2 マシュリク(歴史的概観;地域別・都市別の研究史)
トルコ(トルコ都市研究の出発点;1940年代‐1970年代;近年の研究動向)
イラン(歴史的概観;都市の空間;都市の社会)
中央アジア(歴史的概観;最近の研究動向)
終章 都市研究の再構築にむけて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陽香
1
199604252013/12/15
Cebecibaşı
0
「イスラム都市」研究と言いながら序章からいきなり「イスラム都市論の解体」とくる。欧米研究者のオリエンタリズム的な視点に端を発するイスラム都市論は、そもそもの枠組みからして限界の見えている研究視座であり、個別的具体的な都市の構造を捉えていく必要性があるという視点のもとでそれぞれの地域ごとの都市研究の研究史をそれぞれの国内第一人者まとめている一冊で非常に読み応えがある。この一冊が出てからすでにかなりの時が経っているが、未だにここで挙げられている問題点が克服されていない状態であるのは残念。2018/05/08