出版社内容情報
パレスチナに旅立たないシオニズムとは何か。ロシア帝国に生きたユダヤ人たちの思想と行動の軌跡を描き出す。
シオニズム運動の枢要を担ってきたロシア帝国出身のユダヤ人たち.しかし彼らのなかには,シオニストでありながらあえてロシアにとどまる「ロシア・シオニズム」思想の系譜が存在した.歴史的な文脈を丁寧にたどりながら,シオニズムの新たな側面に光をあてる.【第1回東京大学南原繁記念出版賞】
序 章 パレスチナに行かなかったシオニスト
第1章 ロシア帝国におけるシオニズムの生成
第1節 ロシア帝国という場
第2節 ロシア帝国とユダヤ人
第3節 初期のシオニズム
小 括 目標としての「ネーション」
第2章 「ネーション」概念にはいかなる利点があったのか
第1節 帝政末期のロシア・シオニズムと『ラスヴェト』
第2節 ナショナリズムを分析する理論的視角
第3節 ドゥブノフとユダヤ・ナショナリズム
第4節 集団間アイデンティティとしての「ネーション」
第5節 『ラスヴェト』における本質規定の忌避
小 括 集団内/集団間アイデンティティの相互自律性
第3章 本質規定を忌避するナショナリズム
第1節 ナショナリズムと本質主義
第2節 シオニズムにおける「東」と「西」
第3節 「一人のユダヤ知識人の歴史」
第4節 民族の社会経済的基盤への注目
第5節 非ユダヤ人の影への反発
第6節 「ユダヤ社会」の「ルネサンス」
小 括 社会という位相
第4章 シオニズムの「想像の文脈」
第1節 ネーションの想像と文脈の想像
第2節 二〇世紀初頭のロシア・東欧における民族理論
第3節 ロシア・シオニズムにおける国家、民族、公共圏
第4節 シオニズムとパレスチナ・アラブ
小 括 シオニズムの「国際規範」の光と影
終 章 一九一七年――消えた帝国、散っていった夢
第1節 一九一七年革命とシオニズム
第2節 結 論
【著者紹介】
鶴見太郎:日本学術振興会特別研究員
内容説明
省みられることの少ない一次資料の発掘に基づき、ロシア語を中心にヘブライ語も含む文献を駆使して展開された、優れたロシア・ユダヤ社会史研究であると同時に、社会学的見地からのネーション論や集団的アイデンティティ論を踏まえた民族問題論。パレスチナに行かなかった「シオニスト」たち、忘れられたユダヤ思想の文脈に光をあてる第1回東京大学南原繁記念出版賞受賞作。
目次
序章 パレスチナに行かなかったシオニスト
第1章 ロシア帝国におけるシオニズムの生成―一九世紀終わりのロシア・ユダヤ人と初期のシオニズム
第2章 「ネーション」概念にはいかなる利点があったのか―集団内アイデンティティと集団間アイデンティティ
第3章 本質規定を忌避するナショナリズム―純粋な社会性の追求
第4章 シオニズムの「想像の文脈」―ロシア・シオニズムは何を持ってパレスチナに入ったのか
終章 一九一七年―消えた帝国、散っていった夢
著者等紹介
鶴見太郎[ツルミタロウ]
1982年岐阜県生まれ。2004年東京外国語大学外国語学部英語専攻卒業。2006‐2007年エルサレム・ヘブライ大学ロスバーグ国際校客員研究員。2010年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻相関社会科学分野博士課程修了。2010年エルサレム・ヘブライ大学人文科学部博士後研究員。現在、日本学術振興会特別研究員PD(立教大学)。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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