出版社内容情報
言語学・認知心理学の観点から,比喩の概念構造,比喩を介しての知識の獲得,文脈理解,比喩にもとづく推論と連想のプロセスなどに焦点をおきながら,言語情報処理,知識情報処理を中心とする人間の知のメカニズムの諸相を考察する.補稿:岩田純一
内容説明
生きた実例を豊富に駆使して、比喩を通した認知のメカニズムを詳細に分析。本格的比喩研究の書。
目次
1章 序章
2章 類似性の認識―隠喩と直喩
3章 慣用化と比喩―意味の原型と転義
4章 記号化と現実―換喩と提喩
5章 比喩と認知のプロセス
6章 終章
補稿 「比喩ル」の心―比喩の発達の観点から(岩田純一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
11
ある人は「私」と書けばその文字の次元から思考は開始されると考えた。あるいは「心」とは意味するものにおいて構成されるような後顧的なゼロ度であるとして。その位度に比喩も理解も表れる…と喩えれば比喩は理解へ、理解は比喩へと解釈学的循環を起こしていることに気づくことができるだろう。ここにはパース的な三項関係のようなシステムによるアルゴリズムがある。本書では主に概略と先行研究の紹介、そして展望についてが記されている。しかしいわゆる起源論的な観点はない。科学的言説に信憑を置いての器質的説明すらも。けど比喩スゲーな本。2017/03/24