感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブルーツ・リー
4
初期の谷崎潤一郎は、性的倒錯を主題とする作品を作る事が多く、それはそれで作品にはなっていたのだが、多くの人には「気持ち悪い」で終わらされてしまう内容でもあったように思う。 その後、自らの倒錯から離れ、娯楽作品に近い、歴史小説ばかり書いた時期があって、そこで、普遍的に楽しめる物語とはどういうものであるのか。というのを学んだのではないかと思われる。 現代を描く文学に戻って来た当初は完結しなかったり、苦労もしたようであったが、戦中戦後の、細雪に置いて、苦労は結実する。 普遍性や芸術性が担保された、代表作である。2023/03/18