中公文庫<br> 命の版木

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中公文庫
命の版木

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122054578
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

仙台で無禄厄介の林子平は、江戸・蝦夷・長崎を訪れ見聞を広め、海防の必要性を著すが、老中・松平定信から本・版木の回収を命じられる。子平は、版木の彫師お槇と二人で『海国兵談』の完成を目指すが、幕府の監視は日に日に強まり、二人は命をかけて版木を彫ることになる…。第15回中山義秀文学賞受賞作『彫残二人』改題。

著者等紹介

植松三十里[ウエマツミドリ]
静岡市出身。東京女子大学史学科卒。出版社勤務、七年間の在米生活などを経て、2002年「まれびと奇談」で第九回九州さが大衆文学賞佳作、03年「桑港にて」で第二十七回歴史文学賞、09年には『群青 日本海軍の礎を築いた男』(文藝春秋)で第二十八回新田次郎文学賞、『彫残二人』(本書)で第十五回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ぶんこ

48
著者のエッセイを読んで読みたくなった本でしたが、とても良かったです。植松さんの本の特徴である読み易さと、林子平が実在の人物だっただけに臨場感?があって一気読みでした。ロシアからの侵略の危うさに気付き「海国兵談」を書き上げ、国を守る為に世に知らしめようとしたが、権力を握る松平定信と林大学頭に妨害され捉えられ、失意の内に病で亡くなる。その無念と、助けたお槇の最期の覚悟を思うと涙が止まりませんでした。正しいと信じる信念の人の靭さと、それを一緒に信じて支える周囲の人々のつよさも素晴らしい。2017/04/05

誰かのプリン

18
開国兵談を著した林子平。時の老中松平定信に進言したのにも拘らず、御上を批判し市中に不安を煽るとして焚書にされた。その無念を思うといたたまれなくなりました。 良い本でした。 2017/07/01

ロマンチッカーnao

16
松平定信より禁書扱いを受け、出版できなくなった海国兵談を命をかけて書き上げ出版した林子平。その版木を命をかけ掘り上げともに出版した妻の槇。なぜ、そこまでと思うけど、そこあるのは志のみ。この国のために、命をかけて出版という形で情報を伝えようとした二人の行動はハラハラと品あら読みながらも感動します。もっと売れて良いのになっておもう一冊でした。2024/02/11

ふみえ

5
今も言論弾圧はあるが、弾圧する側される側双方の執念が半端ない。ここまでするほど悪いことかと常々思わされる。せめて子平が存命中に名誉回復されたなら救われる。残された兄の無念、悲しみを増す。2016/01/27

やむやむ

2
仕事柄、版を作るという言葉に興味を引かれ手に取った。外寇の手や目がが、天下泰平の世に安住していた江戸時代の日本に襲いかかろうと海の外で画策し始めた頃、その脅威をいち早く察知し海防知識を我がものとして世に広めるべく、幕府と対峙してでも出版を果たそうとした、林子平と女彫り師お槙との、命と版木を守る闘いは、息が詰まる思いで読んだ。出版も時勢を見て命をかけねばならなかった時代。個人でも比較的簡単に本が作れる現代との違いを思うと重いため息が出るほどに、子平のその後が切ない。2020/09/06

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