出版社内容情報
寄席を舞台に、話芸にすべてをかける落語家たちの生きざま――師弟関係、友情を軸に、人生の喜怒哀楽を名作落語の筋に重ねて描く芸人列伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
12
作者の古谷さんの漫画は子供の頃好きで、よく読んでいました。特に手が主人公のシュールな作品『手っちゃん』が好きで印象に残っています。この作品は作風が変わってからのもので、しみじみとした味わいがたまりません。架空の落語家たちの列伝なのですが、まるで実在の人物のように感じる凄みがあります。芸の厳しさ、弟子と師匠の絆、落語家同士の切磋琢磨などが柔らかいタッチの絵で描かれ、繰り返し読みたくなる魅力があります。一番好きなのは「米寿真打ち三升八十八」。70歳で落語家を目指す男のことが描かれており、勇気づけられました。2023/11/12
金目
2
図書館で見つけた。むちゃくちゃ面白い。途中までは実在の芸人扱っているのかと勘違いしていた。それくらいリアリティがある。芸事の修行は十人十色、向き不向きもあれば本人にはどうにもならないこともある。思い込みや心得違いをただされる若手もいれば、長年の信念を貫く大看板、あえて心を鬼にするベテランもいる。シンプルな絵とテンポのいい話の数々で、精進しなきゃなぁという気持ちにさせられた2018/08/09
すがし
2
中公文庫版全3巻読了。凄い名作。ただ読み玩味すべし。特にいいのは……っていい話ばっかりすぎて選べない!! 個人的に好きなのは……って好きな話ばっかり過ぎて選べない!! ……あ~、良識に反していたり意表を衝かれたりして印象深い話。「意地悪団蔵」「女好きの小三太」「敵討ち伝蔵」「名人二代三遊亭円左」「稽古屋ぜん馬」「ひざがわり右朝」「お連れののん太」「動乱幸助」「薮入り小せん」「ヘラヘラの万次郎」「幇間のぜん好」「土手組林蔵」「死に急ぎの三悟楼」「薬屋半蔵」……ってやっぱり選べてない!!2012/11/17
いづむ
1
ぼたんさんの噺のまくらで知った本。時代背景も手伝って、ますます濃密な人生の数々。2012/07/14
コロ
1
「この物語の登場人物は、実在したのです。たぶん。」と思えるのは、この作家の技量であり、落語の懐の深さ、おもしろさ。2012/04/21