中公文庫
蛇行する川のほとり

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  • サイズ 文庫判/ページ数 347p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122048690
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

出版社内容情報

夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために「合宿」を始めた少女たち。だが、少女たちは気づかなかった、運命の歯車が回り始めたことを……。恩田ミステリーの傑作長篇。

内容説明

憧れの存在であった高校美術部の上級生・香澄と芳野の二人から、夏休みに演劇祭の舞台背景画を描き上げるための「合宿」に誘われた毬子。胸躍らせて「船着場のある家」に赴いた彼女を待ち受けていたのは、遠い夏の日に封印されたはずの秘密だった…。ノスタルジーの語り部・恩田陸が紡ぐ永遠の少女たちの物語。

著者等紹介

恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。早稲田大学卒業。92年、第三回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『六番目の小夜子』でデビュー。以降、ミステリ、SF、ホラーなど幅広い分野で精力的に執筆活動を行っている。2005年、『夜のピクニック』で第二回本屋大賞、第二六回吉川英治文学新人賞をダブル受賞。06年『ユージニア』で第五九回日本推理作家協会賞(長篇及び連作短篇集部門)を受賞。07年『中庭の出来事』で第二〇回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

80
【戌年に犬の本】【「ミステリ週間」参加】思春期の少女ならではの触れば壊れてしまいそうな美しさだけでなく、そこに含まれた危うさ、はかなさに包まれた、きらきらした少女たちが密かに隠し持つ秘密。それでもそれほど陰惨な感じがしないのは、そこに登場するのが私利私欲にかられた大人たちではなく幼い子どもたちだったからだろうか。第二章の題「ケンタウロス」は、ある少女の家でかつて飼われていた犬の名前。あまり登場しないが、重要な役割を担っている。2018/08/30

けい

70
物語の進行に合わせて語り手を切替ながら展開していく。無垢な少女毬子、少女と女の境目にある芳野、物語の完結に必要な第三者である真魚子。3人の目を通して事件の真相に近づくにつれて、少女から女へと変化していく微妙な世代を描き出す。「ネバーランド」の様に恩田さんが描く少年の物語もいいが、今作で描かれる少女は別格に崇高で美しかった。2013/10/13

みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます

52
女子高生の毬子は、憧れの先輩に誘われて「蛇行する川のほとり」にある家での合宿に参加するが、そこで起こったかつての事件の記憶がよみがえるなか、何のために自分が誘われたのかが気になり始める。そんなサスペンス色たっぷりのミステリーとしても引き付けられたのだが、それ以上に、事件を通じて描かれた少女たちの心情が何より秀逸。いつまでも子どもっぽいと言われる男の一人としては、おとなへと向かう少女たちの気高くも不安定な心の機微が、みずみずしくもはかなげな美しさを放ち、心奪われる。恩田作品らしい味わいのある良作だと感じた。2013/07/04

きんぎょっち

47
子ども時代に起きた犯罪をめぐる、毅然として美しい少女たちの少女時代の話だった。男性作家が書く少女は男目線なので不自然に性的だったりして気持ち悪いのだが、そういった要素は全くないのがよかった。それぞれが重たい秘密を抱えながら不思議に強く結びついている少女たちの関係性は、肉体的なものに左右されやすい男性には理解しずらいものかもしれない。普通のつもりでも、直感や隠喩や暗示や象徴がまぎれこむのが少女同士の会話というもの。それらを思う存分堪能でき、かつミステリーも楽しめる作品だった。2017/12/04

いりあ

47
恩田陸が2002年に発表した長編小説。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために"合宿"を始めた少女たちの物語です。過去に起きた悲しい事件/事故を中心にミステリータッチで話は展開していくのですが、やはり恩田さんの描く思春期の少女は素晴らしいです。本作は三部作+αで各章ごとに視点が変わります。そのため、話の中心になった少女の持つ考えや性格によって、人間関係や物事が多角的に見えて、物語の彩りが増します。これを舞台で上演したら、とても面白そうです。2013/12/28

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