中公文庫<br> 「隔離」という病い―近代日本の医療空間

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中公文庫
「隔離」という病い―近代日本の医療空間

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122044920
  • NDC分類 498.6
  • Cコード C1130

出版社内容情報

恐怖の宣伝、強制収容、終身隔離…歪んだ近代の医療空間。「隔離」の果てに何があるのか? ハンセン病を軸に日本社会の「病い」観を問いなおす。

内容説明

恐怖の宣伝、強制収容、終身隔離…近代日本におけるハンセン病患者への過酷な差別は現代にも影を落とす。「病んだ」共同体はいったいどこへ向かうのか―。隔離医療をタブー化することなく、そこに潜む「排除のメカニズム」を分析的に明らかにし、人権思想との共存方法を考察する。ルポルタージュと批評の融合を試みた好著。

目次

序章 終わりからはじめること
第1章 近代国家であるために
第2章 隔離という病いをめぐって
第3章 「奇妙な国」の論理
第4章 「牧人」の系譜学
第5章 生きがい論の陥穽
第6章 ユートピアの枠
終章 そして、都市へ

著者等紹介

武田徹[タケダトオル]
1958年生。ジャーナリスト。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士課程修了後、分析的・批評的手法を特徴とするノンフィクション作家、評論家に。執筆と平行して複数の大学でメディア表現関係科目を担当、2003年10月からは東京大学先端科学技術研究センター特任教授(ジャーナリスト養成コース)を兼務。『流行人類学クロニクル』で2000年度サントリー学芸賞受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

36
新型コロナウイルス問題における隔離を見ていると、どうしてもハンセン病を彷彿してしまう。ハンセン病を巡る我が国の歴史を丁寧にトレースしながら、まさに患者の断種や隔離というおこないが善意と悪意の両面をもち、その評価は時代によって揺れ動いてきたという冷徹な現実を私達に突きつけてきます。隔離医療と人権尊重をいかに両立させるか。著者は義理と人情によって人間の不寛容が広がるのを遅延させるしかないと解きます。今だからこそ噛みしめたい言葉のように感じました。2020/03/30

玻璃

2
文献調査と現場のルポの組み合わせで大変ボリュームのある内容だった。ハンセン病差別について本を読むごとに、自分がいかにこの問題について知らなかったか痛感する。ハンセン病といえば絶対隔離政策だが、草津の事例は非常に興味深い。私にはとても難しかったが、多面的に調べないとこの問題の本質を見誤るのはよくわかった。最小国家主義や満州国との対比など、著者ならではの視点は面白い。が、これを理解するのにはもっと勉強しないとなあ。いつか再読したい。2019/11/23

読んで読まれて

1
薬が出来ても、らい予防法が廃止されなかった背景や近代日本共同体を「書斎系」と「現場系」の方法で書かれた本。 P133.の長島事件への関西MTLの投稿文などは、現在のSNSではどのような形で見受けられるのだろうか? 第5章で取り上げられる、北条民雄『いのちの初夜』は、青空文庫、kindleで読めます。2020/05/17

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