中公文庫
馮道―乱世の宰相 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122042827
  • NDC分類 289.2
  • Cコード C1123

内容説明

唐末から宋へと到る戦乱の時代。中小地主の家に生まれながらも、博識多才と人柄を買われ、五朝八姓十一人の天子に仕えた五代の宰相・馮道。宋代の歴史家は、彼を何度も主君を変えた「破廉恥漢」と評する。その評価に疑問を抱き、生涯を捉え直すことで、これまでとは異なる「民を愛した」馮道の実像が鮮やかにうかびあがる。中国史の激動の時代、乱世の政治の表街道をしたたかに生きぬいた希代の政治家の生涯を余すことなく書き記した力作評伝。

目次

1 唐朝の崩壊
2 盧龍軍の劉守光
3 宦官の張承業
4 父の死
5 宰相
6 後唐末帝への勧進
7 石敬〓(トウ)
8 耶律徳光
9 長楽老自叙
10 柴栄の登場と馮道の死

著者等紹介

砺波護[トナミマモル]
1937年、東大阪市に生まれる。65年、京都大学大学院文学研究科東洋史学専攻修了。神戸大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所教授、大学院文学研究科教授を経て、現在は京都大学名誉教授、大谷大学教授。文学博士。中国の政治史、社会史、仏教史を研究
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感想・レビュー

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しいかあ

3
馮道が生まれる前の安禄山の反乱と、それに伴う社会構造の変化から筆を起こしているので、貴族制から士大夫制への移行期である五代十国時代の様子と、その中で貴族出身ではない馮道がどのような立ち位置にあったかがよく分かる構成になっている。そのためにやや専門的な内容になっているけれど、それでも飽きずにぐいぐいと読ませるだけの魅力がある。ヘタな小説より余程に面白かった。事当務実っていい言葉だなあ。2013/01/25

2
ときは五代十国時代、約半世紀を数多の主君に宰相として仕えた、馮道の話。よくタレーランなどと比較されることが多いが、別に彼は裏切りや権謀を駆使するような人間ではなかった。常に民衆優先、それをモットーに生きてきた結果、五朝八姓十一人の天子に仕えることになってしまったともいえる。個人的には彼の運の強さが印象的だった。中央に変事が起きるときは、大体その渦中にいないのがある意味彼の特徴であり、乱世ながら、乱世に関わることを由としなかった平民宰相たる所以であろう。2009/10/15

偽教授

1
名著の一言。七時間を費やして一気に読んでしまった。2012/09/11

m.murasaki

1
五代十国時代、五朝八姓十一人の天子に仕えた宰相、のちの時代では何度も主君を変えた破廉恥漢として酷評されることになるが、あくまで国は民を主体と考え、民の為に政治を行った名宰相ですね。

三城 俊一/みきしゅんいち

0
五代十国の動乱期、5つの王朝に仕えて天寿を全うした宰相、馮道。後世の儒教的価値観からは許しがたい変節漢だが、実像はどうだったのか。 馮道は能力が高いにも関わらず、謙虚で人と争うことがなかった。馮道が王朝を渡り歩いたのは、「民のために尽くす」という信念があったからだと筆者は述べる。短命な王朝が続く乱世では、一人の主君に忠義を尽くしていては、命がいくつあっても足りない。宰相として人民の生活を安定させることに努力した馮道は、まさに「国に忠」だったのだろう。馮道は多面的で、非常に興味深い人物だと感じた。2017/05/26

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