中公文庫
グレイのしっぽ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 190p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122041127
  • NDC分類 645.6
  • Cコード C1195

内容説明

抱きしめても抱きしめても指のあいだからこぼれていく時間と生のかけら―「今その瞬間のグレイ」を刻みつけたノートとスケッチを遺して、ほんもののグレイは風になってしまった。最期の瞬間まで犬であろうとするグレイと、どこまでも絵描きであり続けなくてはいられない絵描きが見つめた生と死。犬が描かせたスケッチ帖、三部作完結篇。

目次

みえない犬(公園1;朝 ほか)
グレイのしっぽ(グレイの不安;新しい家 ほか)
時を超えて(空のてんらん会;一〇〇〇人のチェロ・コンサート ほか)
ふたりのあとがき―二〇〇二年夏(ここに―小M;夜空のこちらから―大M)

著者等紹介

伊勢英子[イセヒデコ]
1949年札幌生まれ。東京芸術大学デザイン科卒業。童話『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞を、宮沢賢治原作の絵本『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

376
読む順序を間違えたようで、本書は、伊勢英子さんのグレイ3部作の最終巻だった。冒頭から、グレイ(ハスキー犬)はもういない。その意味では寂寥感にあふれる始りである。以下は、ありし日の(とは言っても晩年の)グレイの回想である。わずか5年の命だったようだ。全編これグレイへの愛情に溢れている。私はこんなに我が家にやって来た犬を大切にし、可愛がってやっただろうかという後悔に苛まれる。今思えばもっとしてやりようはあったなというのが、正直なところである。自分は伊勢英子さんほどには愛情が深くないのだなと痛感せざるを得ない。2019/10/31

のっち♬

138
『非常に悪性の進行の速いガン』に倒れたグレイとの最後の日々。出会って以来無条件に愛情を注いできた著者のこと、日常全てがグレイ中心へシフトする。建築家の急激な不在感に至っては末期どころかもはや終焉の匂い。"グレイに忘れられている"はやはり危険信号だったようだ。子供との溝の由来は単なる放ったらかしでもない気がするし、星になるまで家族の一員であろうとしたグレイの周囲がささくれ立つというのは皮肉な因果である。無理を言って見学した脾摘オペをはじめ、グレイ点描の生命力から目を逸らすまいとする温かな眼差しが感じられる。2022/09/14

kanegon69@凍結中

84
最終巻のこの本では、てんかん、そしてガンに侵されて闘病生活を送る5歳のグレイと家族の様子が日記のように書かれており、日増しに衰弱していくグレイの様子、伊勢さんと、ご家族の様子が描かれていました。正直、読んでいるのが辛い、、伊勢さんの心境、グレイの心中を思うと、堪らない気持ちにならざるを得ませんでした。生きとし生けるもの、必ず死がやってきます。実際に喪失に直面した残されし者は、どうやって思いを昇華していくのか、改めてその難しさを痛感させられた気がします。可愛くてやんちゃなグレイの様子がとても心に残っています2019/11/20

kinupon

69
読もう読もうと思って中々読むことができなかったグレイの最後の本です。生き物を飼うということは楽しさと辛さが同居していることですね。我が家の柴もどうか長生きできますように。2018/07/19

きりこ

53
お互いの空白をうめるためになくてはならない存在だったという画家と愛犬。「私はグレイのお母さんです」と言い切り、愛犬の命を救おうと懸命に手を尽くす画家。スケッチを描き続けることはグレイの命を見つめることに等しい。家族としてグレイに寄り添そい、グレイが描かせた最後の日々のスケッチ。作り物でない真実の記録ほど心を揺さぶられるものはない。自分の体験と重なり涙腺崩壊。痛々しい闘病記ではあるが、画家の描くグレイが何んとも可愛いくて微笑まずにはいられない。泣き笑いしながら読了。 2013/09/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/432484
  • ご注意事項