内容説明
いまや、まったく忘れられようとしている昔ながらの食べ物の知恵、お総菜のコツを、およそ四〇〇種の材料をとりあげて四季をおってあますところなく記した、日本の“おふくろの味”総集篇。
目次
春(金柑・杏・林檎;蕗 ほか)
夏(柿の葉ずし;滝川豆腐・卯の花 ほか)
秋(秋鯖;秋刀魚 ほか)
冬(鮭;鱈 ほか)
著者等紹介
辰巳浜子[タツミハマコ]
明治37(1904)年5月、東京に生まれる。香蘭女学校を卒業してすぐ辰巳芳雄氏に嫁す。戦後まもなく料理の指導をはじめ、NHKの「きょうの料理」のレギュラーのほか、放送、新聞、雑誌で活躍。趣味として志野流香道をたしなむ。昭和52(1977)年6月没
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
61
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/03/post-63058e.html まさに、おふくろの味総集編です。2022/03/13
ユメ
45
季節ごとにひとつひとつ丁寧に旬の食材をとりあげ、調理法を紹介したこの本は、そのまま日本の四季の豊かさを描いた風景画のようになっている。旬が果たしていつなのかわからなくなりそうな現代とは違って、食卓の上が歳時記だった時代があったのだということを刻んでいる本だ。食べる何日も前から仕込みをすることは当たり前、つまや吸口にも心入れをし、「本物の味」にこだわった辰巳さんの料理。簡単に倣うとは言えない。でも、せっかくこうしてこの本と巡り合えたのだから、まずは何か一品だけでも、自分の家の味にしていきたいと思う次第だ。2016/10/17
tenori
44
『古書カフェすみれ屋と本のソムリエ』に登場する一冊。著者はおそらく〝いいところ〟の育ちで〝いいところ〟に嫁いだお嬢様と思われ、言葉の節々や日常の食生活に〝上から目線〟的な表現を感じるものの、戦前・戦後を生き抜いた母は強し。専業主婦を善しとするような記述も時代を考えれば納得。家庭料理の歳時記でありレシピ本ではない。が、細やかな描写と生命に対するリスペクト、家族や来客を想い丁寧に作ること、食を通して日本の四季を感じること。喪われた五感を研ぎ澄ませと教えてくれる昭和の名著。2021/09/11
浅葱@
29
母の病院のお供で拝借。食材や料理法はもとより、素材がある風景、季節が見えてくる。歳時記なのだと実感。特別なことではなく、理にかなった丁寧な仕事が美味しいものになっていく素敵さ。どう料理して、どう食べるか。食べ飽きないシンプルな美味しさに滋味を感じました。母の愛読書もたまには佳きものなり。2013/12/08
zirou1984
24
料理好きに進められた、明治生まれ日本の料理研究家の草分け的著者による食材エッセイ。何度も自身を戦前の古さを体現していると自嘲しているが、四季に合わせた食材を、食材自身の旨みをどのように生かして料理するかを綴った内容はひたむきに料理への愛情と誇りが感じられる。ここでは生活と料理は不可分に結び付き、料理は知性と切り離せないものとして描かれており、自身の料理はおろかついつい日々の食事にすら無関心になりがちな身としてはついついおばあちゃんの説教のように感じられてしまったり。いや、でも、良い本ですよ。2020/04/01