内容説明
人生は将棋に似ている―。名人に香車を引いて勝つという伝説を作り、同門の大山康晴と熾烈な戦いを演じた不世出の名人・升田幸三が、人事百般について不羈奔放に語り下ろした随筆集。人間味豊かな語り口の中にあらわれる珠玉の言葉のひとつひとつは、世代を越え、深く感銘を与えずにはいない。
目次
第1章 将棋の道へ
第2章 駒の哲学
第3章 勝負
第4章 上に立つ
第5章 後から来る者へ
第6章 世間
第7章 思い出の人びと
第8章 女、妻、家内
第9章 身辺雑記
著者等紹介
升田幸三[マスダコウゾウ]
大正7年、広島生まれ。十四歳で家を出、木見金治郎名人に入門する。昭和27年、木村義雄名人を破り王将位獲得。昭和31年には大山康晴名人に対し「名人に香車を引いて勝つ」という将棋史上空前絶後の記録を残す。昭和32年、名人位を獲得し、史上初の三冠達成。ライバル大山との数々の名勝負をとおして「大山升田時代」と呼ばれる一時代を築く一方で、「新手一生」を掲げ常識を覆す独創的な新定跡を次々と創作していった。平成3年没
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感想・レビュー
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Tomomi Yazaki
11
軽快な語り口で綴られているがそれとは裏腹に、将棋を通し物事の根幹に触れる語りに、ついついのめり込んでしまいます。この本は、そんな著者の奇妙な生い立ちから始まります。貧しさを馬鹿にされ、馬鹿にした女の子の額を刀で切りつける。それで二升瓶で何度も何度も殴られる折檻を受け、馬鹿になる。馬鹿を経験し、青年前に突如将棋に目覚め、ものすごい勢いで頂点に駆け上がる。嗚呼、名著の予感。それほど将棋に詳しくない私でも、わかり易い喩えや面白話しを楽しんで読む事が出来ました。将棋で哲学を語る、なんとも愉快な人物のお話です。2019/05/06
naotan
10
平易な語り口で読みやすく、面白く、それでいてハッとさせられるような奥深さがあり、良い本でした。特に第二章が面白かった。2018/02/27
あじさい
7
著者の講演は絶対に面白いはずだ、と確信できるくらいに面白い。元々の目的は、部署を代表して「吊し上げ」会議で矢面に立つことになり、ビビりモードにあるメンタルを少しでも和らげようと藁にもすがる思いで手にとったものデス。。表紙の著者の表情からも「怖いものなし」オーラがバンバンだし、「そうだ升田さんに聞こう!」的なノリだった。勝負師としての指南書と活用しようかなぁと、完全に付け焼き刃なんですケド。エピソード一つ一つ面白く、思わず没頭してしまう出来。で、会議の結果はボッコボコのサンドバッグ状態でした(ToT)2015/09/28
ウメ
5
将棋からこれだけ人生観が学べるとは。肉声を聞くような語り口調の文章がすごくいい。歴史に名を残す棋士なのに決して偉ぶることなく、彼の将棋人生をユーモラスに伝える。勝負師としての生きざまは一本筋が通っていて大変に男前。2017/10/20
カープ坊や
5
広島が生んだ 天才 升田幸三先生の 人生論 人間論 約30年振りの再読です。図書館で偶然見つけて借りて来ました。 私の人生で 今までに只一度だけ 有名人にファンレターを送ったのが 升田先生でした。勿論返事は ありませんでしたが! 2013/05/21