内容説明
妄想が先行していたからこそ、行為が成立する。すべての探険と学究の糸口は妄想からはじまるのである―。国立民族学博物館初代館長が初めて綴った、思索と行動の道幾すじ。日本経済新聞連載「私の履歴書」に大幅加筆。
目次
幼年のころ
山への目ざめ
探検隊の見習士官
モンゴル行
戦後の生活
比較文明論への旅だち
アジアからアフリカへ
京都大学にかえる
ヨーロッパと万国博
博物館づくり
公私多忙
文化開発のプランニング
世界体験
老年の波乱
老後のくらし
著者等紹介
梅棹忠夫[ウメサオタダオ]
大正9年(1920)、京都市に生まれる。昭和18年、京都大学理学部卒業。学生時代の白頭山登山および大興安嶺探検隊以来、調査、探検の足跡は、ひろく地球上各地にしるされている。京都大学人文科学研究所教授、国立民族学博物館長をへて、現在は同館顧問・名誉教授。専攻、民族学、比較文明学。理学博士。平成6年、文化勲章を受賞する
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感想・レビュー
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エドバーグ
4
梅棹さんの信念が、よくわかりました。 巨大な木は、実は役に立たないから、切られずに大きくなった。自分も人の役にたたない学問ばかりやってきた。では、役にたたない学問は何のためにあるのか。「人類の栄光ため」とは!人類の栄光をよくよく 考えたいと思いました。2017/03/02
slow_life
3
文化人類学者。国立民博館長。知的生産の技術。文明の生態史観。肩書き、実績を書ききれない巨人。妄想と行為がともなった方。フィールドワーク。一章がそのまま本になりそうなところをザックリまとめているので興味がある分野ごとに著作集でほりさげたほうがよさそう。櫟社の散木。人の役に立ちそうにないことばかりやって生きる。人類の栄光のためのに学問にはげむ。2012/05/06
かりん
3
4:梅棹氏の幅広い活動に至る経緯と頭の良さがわかります。この本をもとに、いろいろ広げたい。我々はもう「探検」にこんなに心踊らせられないのではないかなぁ…。人類の栄光のため。日本文明クジラ論。教育は充電、文化は放電。2009/06/28
nyker
2
小学校で鴎外と夏目漱石全部読んでるとか、外国語をさらっと喋れるようになってるのとか、無限に行動しまくってるログを目の当たりにすると、人としてのエンジンが桁違いなんやなと思った。基本ファクトベースだけどたまにお茶目文章が混ざるのが好きです。2021/01/17
sachi716
2
梅棹忠夫氏の自伝。 非常にスケールの大きい、常に学究の徒であることにこだわり続けた人生が、淡々としたトーンで書かれている。 大胆で核心を突く文章のなかに、筆者のサイエンスに対する純粋で真摯な姿勢が一貫してあり、読後感がとてもいい。 『ふりかえってみると、まともに筋のとおっていない人生であった。極端にいえば、支離滅裂であったといえるかもしれない。(中略)これはこれで仕かたがないこととおもっている。』2014/04/11